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「俺たち、変なことしたのかな」出産内祝いを金額に合わせて選んだ私。後日、耳に入った親戚の本音

  • 2026.9.12

祝儀袋を、ひとつずつ開けていった

退院した週末、リビングのローテーブルに祝儀袋を六つ並べた。

妻が子どもを寝かしつけているあいだに、私は一つずつ封を開けて中身を確かめていった。

表書きは、どれも筆ペンで丁寧に書かれている。病院まで足を運んでくれた家もあれば、宅配便で送ってくれた家もあった。

「叔父さんのところ、1万円だったよ」

戻ってきた妻が、私の横からノートを覗き込んだ。

「こっちも1万円だね。ありがたいね、本当に」

五つ目まで、金額は同じだった。

最後の一つを開けると、入っていたのは5千円だった。

「あ、ここは5千円なんだ」

妻は袋に書かれた名前を見て、すぐに「ああ」と小さく声を漏らした。

その家には子どもが三人いて、ちょうど上の子の入学も重なっていると聞いていた。

一番遠いところから、わざわざ車で顔を見に来てくれた家でもある。

「来てくれただけでも十分ありがたかったよね」

「うん。金額は気にしなくていいよ。お祝いしてくれたことが嬉しいし」

そう言いながら、家ごとの金額をノートに書き出した。

そのあと二人で内祝いの冊子を開いた。返す金額の目安を見ながら、候補になりそうな品に付箋を貼っていった。

「こういうの、意外と悩むな」

「ね。失礼にならないようにって考え始めると、何が正解か分からなくなる」

電卓を叩いて、割り出した金額

翌週、妻と一緒に内祝いの売り場へ行った。

包装紙の見本を見比べ、菓子やタオルの箱を手に取っては戻す。それを何度も繰り返した。

1万円をいただいた家には、6千円ほどのタオルと菓子の詰め合わせを選んだ。

残ったのは、5千円をいただいた一軒だった。

妻が棚を見ながら言った。

「全部同じにできたら、一番分かりやすいんだけどね」

「俺も最初そう思ったんだけど……同じ6千円だと、もらった額より高くなるんだよな」

スマートフォンの電卓に数字を入れる。

表示されたのは3千円だった。

「やっぱり、このくらいがいいんじゃない?」

「うん。変に差をつけたいわけじゃないもんね。いただいた額に合わせただけだし」

結局、その一軒には同じ売り場で3千円の焼き菓子を選んだ。

掛け紙や配送日は六軒とも揃えた。これで無事に終わったつもりだった。

それから半月ほどたったころ、母から電話がかかってきた。

いつもの母なら用件から話すのに、その日はなかなか本題に入らなかった。

「あのね…ちょっと言いにくいんだけど」

「何?どうしたの」

「この前、親戚で集まったときに、内祝いの話になったみたいでね」

母はそこで一度言葉を止めた。

「5千円だった家にも、ほかと同じ物を返したほうがよかったんじゃないかって言う人がいたのよ」

「え…そうなの?」

思わず聞き返した。

「中身が違ったのが気になったみたい。『親戚なんだから、そこは揃えてもよかったんじゃない?』って」

母の声には、こちらを責めたいわけではないことがにじんでいた。

「母さんも、そう思う?」

「いや、私はそこまで思わないよ。ただ、耳に入ったから…黙ってるのもどうかなと思って」

電話を切ったあとも、なんとなく胸の奥に引っかかるものが残った。

机の上に置いてあったノートを開く。自分たちなりに考えて決めた金額だった。

「親戚から、全部同じ物にしたほうがよかったんじゃないかって言われたらしい」

妻は少し驚いた顔をした。

「え…そんなふうに言われてたの?」

「うん。俺たち、変なことしたのかなって、ちょっと思ってさ」

妻はしばらくノートを見たあと、小さく息を吐いた。

「私は、間違ったとは思わないよ」

そして少しだけ困ったように笑った。

「でも……できれば聞きたくなかったね、そういう話」

「だよな」

お祝いしてもらったことへの感謝は、どの家にも変わらない。

だからこそ、数字だけでは決められない親戚づきあいの難しさを、あとになって知った気がした。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた20代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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