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「若いんだから立てるだろ」満員バスで妊婦に向けられた一言。誰も言い返せない中、動いた乗客

  • 2026.9.11
「若いんだから立てるだろ」満員バスで妊婦に向けられた一言。誰も言い返せない中、動いた乗客

優先席の前で、突然大きな声がした

夕方のバスは混んでいて、私は後方の吊り革を握っていました。優先席にはマタニティマークをつけた女性が座っています。

お腹が大きく目立っていて、揺れるたびに片手を添えていました。

次の停留所から、男性が乗ってきました。

男性は車内を見回し、空いている席がないと分かると、なぜかその女性の前で足を止めました。

「…なんだよ。若いのに座ってるのか」

女性は顔を上げましたが、何も答えません。

すると男性は、マタニティマークに気づいたようでした。

それでも引くどころか、さらに声を大きくしました。

「少しくらい立ったほうがいいだろ。妊婦は運動するべきだろう」

車内の話し声が、すっと小さくなりました。

女性はお腹に手を添えたまま、小さな声で言いました。

「すみません…今日は、ちょっとつらくて」

「いや、別に俺だって楽じゃないんだよ」

男性はそう言って、空席を探すようにもう一度車内を見回します。

私は何か言いたいと思いながらも、男性の大きな声に気後れしてしまい、吊り革を握ったまま動けませんでした。

隣の人が、何も言わずに立った

そのとき、妊婦の女性の隣に座っていた男性が、読んでいた文庫本を閉じました。

そして何も言わずに立ち上がり、通路へ出ます。

中年の男性は一瞬きょとんとしたあと、その空いた席を見ました。

「ああ、悪いね」

そう言って座ると、まだ納得していないような顔で女性のほうを見ます。

「まあ、無理しろとは言わないけどさ。若いんだから」

女性は何も返さず、窓の外へ視線を向けました。

見ているこちらまで息苦しくなるような空気でした。

すると今度は、通路を挟んだ向かい側に座っていた女性が、妊婦の女性へそっと声をかけました。

「大丈夫ですか?」

妊婦の女性は、少し驚いた顔でうなずきます。

「はい…ありがとうございます」

「もしよかったら、こっちに来ます?少し離れたほうが落ち着けると思うので」

ちょうど次の停留所でバスが止まりました。

二人は席を替わり、妊婦の女性は男性から通路を挟んだ位置へ移りました。

運転席まで伝えに行った女性

席を譲った女性は、そのまま前方へ歩いていきました。

バスが停車しているあいだに、運転席のそばで小さな声で事情を伝えているのが見えました。

「すみません。さっきから、あちらの女性が強い口調で言われていて…少し気になって」

運転士は優先席のほうを確認し、短くうなずきました。

「分かりました。ありがとうございます」

それだけでした。

誰かが男性を怒鳴り返したわけでも、車内から追い出したわけでもありません。

それでも、周囲が自分の様子を気にしていると分かったのか、男性はその後ほとんど口を開かなくなりました。

数停留所先で男性が降りると、妊婦の女性は隣の女性に小さく頭を下げました。

「さっき、本当にありがとうございました」

女性は少し笑って答えました。

「いえいえ。しんどいときは、座ってていいんですよ」

その言葉を聞いて、私は少し胸が痛くなりました。

大きな声に怖くなって動けなかった自分とは違い、あの二人は相手を言い負かすことなく、必要なことだけを静かにしていました。

今でも優先席を見ると、あの日の車内と、黙って席を立った人の背中を思い出します。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた20代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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