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夫の車のカーナビに並ぶ目的地から、私と出かけた場所だけが1つも出てきませんでした

  • 2026.9.10
ハウコレ

地図に出した見覚えのない住所は、2人で通った蕎麦屋の1つ手前の交差点でした。

3つとも、そういう場所でした。私は運転席に座ったまま、夫が出てくるのを待ちました。信号が変わるまでの間に開いた目的地の一覧は、行ったことのない住所から始まっていました。

並んでいたのは、私の知らない場所ばかりでした

結婚して8年、この車は夫の通勤用で、私は免許を持っていません。休みの日に出かけるときは、いつも夫が運転して、私が助手席に座ります。買い物の帰りにカーナビの履歴を見てみると、ホームセンター、夫の実家、勤め先の駐車場、そして見覚えのない住所が3つ並んでいました。前に2人で行った蕎麦屋も、その前の水族館も、名前がありません。

「この履歴、消してる?」

「たまに整理してる」

夫はウインカーを出したままそう答えて、私もそれ以上は聞きませんでした。

見覚えのない住所を、地図に出しました

2日ほど、そのことばかり考えていました。夫が風呂に入っている間に、私は鍵を持って駐車場へ降りました。運転席に座って画面をつけ、見覚えのない住所を1つずつ地図に出していきます。1つ目は、蕎麦屋の1つ手前の交差点でした。2つ目は、水族館の駐車場に入る手前の角。店そのものは残っていないのに、その手前だけが残っている。私と行った日を消して、別の日の分を残しているのだろうか。そこまで考えが進んだところで、私はシートに深く座り直しました。

助手席の物入れから出てきた紙

そこへ、夫が助手席側から乗り込んできました。

「私と行ったところだけ、ないの」

「入れてないだけだよ」

夫は前を向いたまま、助手席の物入れを開けました。出てきたのは、何度も折られて角の丸くなった紙です。広げると、交差点の名前と、右か左かの向きが、上から順に並んでいました。蕎麦屋の名前も、水族館の名前も、いちばん下に書いてあります。

「前の日に、1回走ってる」

「なんで言わないの」

「言うほどのことじゃないと思ってた」

夫はそこで少し間を置いて、続けました。

「調べてから来てよって、言われたことがあって」

「渋滞に入って、着いたころには閉まってた」

「そんなこと、言った?」

私には、その記憶がありませんでした。

そして...

私は彼に、その一言について謝りました。運転してもらっているのは私なのに、生意気なことを言ってしまったと思います。

あの紙は、今は私の手帳に挟んであります。折り目のところだけ色が薄くなっていて、同じところで繰り返し折られてきたのだとわかります。次に出かける先は、私が調べて書き足しました。

(30代女性・会社員)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

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