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アニメ監督・しらとたけし 沖縄の子どもたちと「首里城」がテーマのアニメを制作

  • 2026.9.10

この秋、沖縄のシンボル・首里城正殿の復元が終わり、一般公開されます。2019年秋の火災による焼失から7年、待ちに待った復元です。この復元に合わせて今、首里城をテーマにしたアニメ映画が作られています。今回はこの制作に取り組んでいる、アニメ界のレジェンドのお話です。

しらとたけしさん
しらとたけしさん

東京都ご出身のアニメ監督、しらとたけしさん。「タイガーマスク」「デビルマン」に始まり、「宇宙戦艦ヤマト」に「ルパン三世」、少し若い世代ですと「キン肉マン」や80年代にリメイクされた「ゲゲゲの鬼太郎」など、50年以上にわたって、名だたるアニメ作品に関わってきた、アニメ界のレジェンドです。

そんなしらとさんが、2022年から取り組んでいらっしゃるのが「MIRAIアニメプロジェクト」。未来の担い手である子どもたちと一緒に、アニメを制作する活動なんですね。

ワークショップの様子
ワークショップの様子(画像提供:MIRAIアニメプロジェクト)

きっかけは、沖縄・慶良間(けらま)諸島の渡嘉敷島(とかしきじま)。スタッフの方とのご縁で開いたアニメのワークショップに、島のほとんどの小学生が参加、食い入るように話を聴いて、絵を描いてくれました。

それもそのはず、島で暮らす多くの方にとっては、テレビでアニメを見ることはあっても、アニメを作る立場の人の話は、ほとんど聞いたことがなかったのです。

『子供たちにアニメの世界を教えるのに、早すぎるなんてことはない。もっと、アニメの深い世界を知ってもらおう!』

子供たちとその親御さんたちの、アツい思いに心打たれたしらとさんは、沖縄を中心に、いくつかの市町村を回りながら、子供たちとのアニメ制作を始めます。

アフレコの様子
アフレコの様子(画像提供:MIRAIアニメプロジェクト)

なかなか絵を描くことが出来ないお子さんには、絵の描き方のヒントを出したり、声を入れるアフレコでは、実際の制作現場でプロの声優さんたちにするのと同じように、子供たちにも本気で、自ら熱烈な演技指導。

なかには、アフレコの待ち時間を我慢できずに、海へ釣りに出かけてしまい、カツオを釣り上げてきたヤンチャなお子さんもいましたが、去年には渡嘉敷島で、子供から96歳の女性まで巻き込んだアニメを作ると、島は大いに盛り上がりました。

そうして沖縄との縁をつないできたしらとさんが、次の作品のテーマとして選んだのが、あの「首里城」だったのです。

しらとさんが、初めて首里城を訪れたのは、実は2019年秋のことでした。あの華やかで荘厳な正殿を記憶に焼き付けて、東京へ戻ってきたのも束の間、テレビから飛び込んできたのは、あの首里城が燃えている映像だったんです。

『あの美しいお城を、なんとか復元してほしい。出来た暁には、自分も何か協力したい!』

そう思ったしらとさん、この6年あまりの間に、沖縄の皆さんとのつながりが深いものになったことで「首里城」をテーマにしたアニメの制作を決意しました。しかし、全くのゼロからのスタート、資金集めは難航を極めます。

そこで、しらとさんは、沖縄にゆかりのある会社に片っ端から電話をかけました。さらに実際に伺って、アニメ制作への協力をお願いしていきます。折しも今、多くの会社で社長さんを務めているのは、子供の頃にテレビで「タイガーマスク」や「デビルマン」を見て育ってきた世代の皆さん。お会いすると、懐かしいアニメの話に花が咲いて、快く協賛を申し出てくれました。

ワークショップの様子(画像提供:MIRAIアニメプロジェクト)
ワークショップの様子(画像提供:MIRAIアニメプロジェクト)

もちろん、再建中の首里城の関連施設にもご協力をいただいてワークショップを開くと、本島北部からも、絵を描くのが好きなお子さんがやってきました。

作品の中で使用する三線の音楽も、子供たちが実際に演奏したものを収録。関東でも横浜・鶴見の沖縄県人会の皆さんが、アニメ制作に協力して下さいました。

そして先月には、首里城の施設を借り、2日間をかけてアフレコも実施。当然、専用のスタジオではありませんから、沖縄の猛烈な湿気のなかでエアコンを切って、シーンと静まり返った空間で、参加した子供たちも汗だくになりながら、一生懸命、演技してくれたといいます。

沖縄の子供や大人たちが中心になって、しらとさんの下、およそ1年をかけて出来上がってきたアニメ作品の名前は、カタカナで「サイオン」。

「サイオン」は琉球王国の政治家で、首里城の歴史を語る上で欠かせない人物なんです。作品では、その幼少期を描きました。

いま、沖縄の子供たちとアニメ制作に取り組む しらとさんは、こう話します。

「僕は子供たちにいたずら書きをしてごらんと言います。そして、描いたら褒めるんです。すると、今まで絵を描けなかった子供が描けるようになっていく、それが楽しいですね。」

沖縄を愛し、首里城を心のよりどころとしてきた皆さんの思いが詰まったアニメ「サイオン」の完成披露試写会は、9月27日の日曜日。しらとさんは充実の笑顔で、最後の追い込みに入っています。

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