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「うちはその名字ではありません」夜中に何度も訪ねてきた隣人→最後に聞いた不可解な一言

  • 2026.9.11
「うちはその名字ではありません」夜中に何度も訪ねてきた隣人→最後に聞いた不可解な一言

隣に越してきた人は、ごく普通の挨拶をした

中学生だった頃、私は母と弟、妹の四人でアパートに住んでいました。

隣の部屋に越してきたのは、四十代くらいの女性でした。

引っ越してきた日の夕方、玄関先で母と一緒に挨拶をしました。

「今日から隣です。荷物の音、うるさかったでしょう。ごめんなさいね」

「いえいえ。うちは子どもが三人いるので、こっちのほうがうるさいかもしれません」

母が名字を名乗ると、女性は「よろしくお願いします」と笑いました。

特に変わったところはなく、私もすぐにその日のことを忘れていました。

それから半月ほど経った夜です。

チャイムの音で目が覚めました。時計を見ると、午前0時を過ぎていました。

母が玄関へ行き、ドア越しに声をかけました。

「はい…どちらさまですか?」

「隣です。あの…こちら、◯◯さんのお宅ですよね?」

女性が口にしたのは、私たちとはまったく違う名字でした。

「え?いえ、違いますよ。うちはその名字ではありません」

「あら、そうなの?ごめんなさい。間違えちゃったみたい」

それだけ言うと、女性は隣の部屋へ戻っていきました。

翌朝、母は「寝ぼけてたのかもしれないね」と苦笑いしていました。

一週間後、また同じ名字を言われた

ところが一週間ほどすると、また夜中にチャイムが鳴りました。

「…どなたですか?」

「隣です。あの◯◯さん、いらっしゃいます?」

母が少し黙りました。

「あの、この前も言いましたけど、うちはその名字ではないですよ」

「え?そうでした?」

「はい。引っ越してこられたときにも、うちの名字はお伝えしましたよね」

女性はしばらく考えるように黙っていました。

「あら…私、ずっとそうだと思ってたわ」

「どうしてその名字だと思うんですか?」

「さあ…そう聞いた気がしたんだけどねえ」

母も、それ以上は何も言えなかったようでした。

「もう遅いですし、子どもたちも寝ていますから…」

「ああ、ごめんなさいね。おやすみなさい」

女性の声はずっと穏やかでした。それなのに、話が少しずつかみ合わないことが、私にはかえって怖く感じられました。

弟も布団の中で、「なんで毎回、違う名字を言うの?」と小さな声で聞いてきました。

私は「分からない」としか答えられませんでした。

三度目の夜、母の声が変わった

三度目は、その数日後でした。

また午前0時を過ぎたころ、チャイムが鳴りました。

「隣です。こちら、あの◯◯さんのお宅ですよね?」

また同じ名字でした。

母はしばらく黙ってから、はっきりと言いました。

「違います。もう三回目です。うちはその名字ではありません」

「あら、そうだった?」

「そうです。夜中に何度も来られると、子どもたちも怖がります。もうやめてください」

それまで穏やかに対応していた母の声に、初めて強い調子が混じりました。

女性は少し黙り、「そう…ごめんなさいね」と言って隣へ戻っていきました。

翌日、母はアパートの管理会社へ事情を相談しました。その後、夜中にチャイムが鳴ることはありませんでした。

それからしばらく経ったある日、隣の部屋から段ボールが運び出されていました。女性が引っ越すようでした。

廊下で顔を合わせた母が、「引っ越されるんですね」と声をかけると、女性はいつものように笑いました。

「ええ。お世話になりました」

そして帰り際、女性はまた、あの知らない名字を口にしました。

母は何も返しませんでした。

十五年ほど経った今でも、夜中の玄関で何度も聞いたあの名字と、穏やかな声だけは妙にはっきり覚えています。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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