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「小さい子が優先でしょう」ブランコに並んでいた男の子。だが、一歩下がって黙った理由

  • 2026.9.11
「小さい子が優先でしょう」ブランコに並んでいた男の子。だが、一歩下がって黙った理由

五人ほどの列は、誰が決めたものでもなかった

半年ほど前の休日、子どもと近所の公園へ行ったときのことです。夕方で、人気のブランコの前には五人ほどの子どもが並んでいました。

誰かが「ここに並んで」と決めたわけではありません。

前の子が降りると次の子が乗り、その後ろへまた誰かが並ぶ。自然にできた順番でした。

しばらくすると、小さな子どもを連れた方がやってきました。

その方は列の後ろには回らず、ちょうど空いたブランコの前まで子どもの手を引いていきました。

「ほら、空いたよ。乗っておいで」

子どもは少し戸惑ったようにブランコを見ていましたが、そのまま座りました。

すると、本来なら次に乗るはずだった男の子が、おそるおそる声をかけました。

「あの…ごめん。僕たち、先に並んでたんだけど」

責めるような言い方ではありませんでした。むしろ、大人に話しかけること自体を迷っているような声でした。

その方は一瞬、男の子を見ました。

「え?でも、この子まだ小さいでしょう?」

男の子が黙っていると、さらに続けました。

「小さい子が優先でしょう。お兄ちゃんなんだから、ちょっとくらい譲ってあげてよ」

男の子は何か言いかけて口を閉じました。

「…うん」

その短い返事だけして、一歩後ろへ下がりました。

「あの子、ずっと並んでたよね」

近くにいた保護者たちも、そのやりとりには気づいていました。何人かがちらりと見ましたが、誰も声をかけませんでした。

私も同じでした。

自分の子どものそばに立ったまま、「何か言ったほうがいいのかな」と迷っているうちに、話が終わってしまったのです。

隣にいた子どもが、私の服を軽く引っ張りました。

「ねえ、あの子、ずっと並んでたよね」

「…うん。並んでたね」

そう答えるしかありませんでした。

男の子は泣きもしなければ、怒りもしませんでした。ただ、さっきまで自分の番を待って見ていたブランコから、少しだけ目をそらしていました。

その顔が、妙に心に残りました。

あとから来た方にも、「小さい子なら少し譲ってもらえるだろう」という感覚があったのだと思います。

小さな子を早く遊ばせてあげたい気持ちまで、理解できないわけではありません。

けれど、だからといって、先に並んでいた子が当然のように順番を譲らなければならないわけではありません。

帰り道、子どもがもう一度言いました。

「僕だったら、ちょっと嫌かも」

「そうだね。嫌だったと思う」

そこで少し迷ってから、私は続けました。

「お母さんも、あのときちゃんと言えばよかったな」

あの男の子は、自分でちゃんと「並んでいた」と伝えていました。それなのに、周りにいた大人の私は何もできませんでした。

それ以来、公園で子ども同士が順番について困っているのを見かけると、以前より少しだけ気にするようになりました。

大げさに誰かを叱らなくても、「この子が先に待っていましたよ」と一言伝えるだけで済むこともあります。

あのときも、きっとそれでよかったのだと思います。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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