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「座りたいなら、そう言えばいいじゃないですか」電車でよろけた女性を見て、座っていた人が口にした一言に唖然

  • 2026.9.10

朝の八時前、目の前で女性がよろけた

去年の春、朝の八時前の電車に乗っていたときのことです。

車内はかなり混んでいて、私は扉から少し入ったところでつり革につかまっていました。

人と肩が触れるほどで、体の向きを変えるのも難しい状態でした。

二人がけの席の近くには、年配の女性が立っていました。

背筋のまっすぐな方でしたが、電車が大きく揺れたとき、一度だけバランスを崩しました。

とっさに座席の背もたれへ手を伸ばし、それから何事もなかったように手すりを握り直します。

そのときでした。

座っていた人がスマートフォンから顔を上げ、少し強い口調で言いました。

「…座りたいなら、そう言えばいいじゃないですか」

女性は驚いたように、その人を見ました。

「え?」

「さっきからこっち見てるから。座りたいのかなって」

少し苛立っているような声でした。

女性は慌てて首を横に振りました。

「いえ、違うんです。今ちょっと揺れたので…。大丈夫です」

「だったらいいですけど」

座っていた人はそう言って、またスマートフォンへ目を落としました。

女性は何か言いかけたように口を開きましたが、結局そのまま黙ってしまいました。

私はすぐ近くにいたのに、何も言えませんでした。

「大丈夫ですか」と声をかけることも、「今、よろけただけですよ」と伝えることもできたはずです。それなのに、車内の空気がこれ以上悪くなるのが怖くて、つり革を握ったまま目を伏せていました。

「そんなつもりじゃなかったんです」

二駅ほど過ぎたころ、女性が降りる準備を始めました。

扉の近くまで移動してきたとき、小さな声が聞こえました。

「そんなつもりじゃなかったんですけどね…」

誰かに聞かせようとしたというより、自分に言い聞かせるような声でした。

近くにいた女性が、少しだけ顔を向けました。

「びっくりしますよね、急に言われたら」

年配の女性は困ったように笑いました。

「ねえ。私も、何て返したらいいのか分からなくて」

それだけ話すと、電車が駅に着きました。

「じゃあ、失礼します」

女性は軽く頭を下げて降りていきました。

扉が閉まってからも、私はさっきのやり取りを考えていました。

言葉にしなければ伝わらない。でも、決めつけなくてもいい

確かに、席を譲ってほしいなら自分から声をかけなければ伝わらないこともあります。

ただ、あの女性は何も頼んでいませんでした。

ただ電車が揺れて、体勢を崩しただけです。

それを「席を譲ってほしそうにしている」と受け取ったことで、あのやり取りが始まりました。

そして私も、「ちょっときつい言い方だな」と思いながら、その場では何も言いませんでした。

誰かを責めるほどの勇気はなくても、「大丈夫ですか」と一言声をかけることくらいはできたはずです。

それ以来、混んだ電車で近くの人がふらついたり、困っているように見えたりしたときは、勝手に事情を決めつける前に一度様子を見るようになりました。

そして自分が座っているときなら、必要そうな人には「座りますか」と先に聞くようにしています。

あの朝、何も言えなかった自分のことも含めて、今でも時々思い出します。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた40代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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