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実は続編のほうが面白い日本映画は…? 邦画シリーズ最高傑作5選。1作目よりもさらにパワーアップした傑作をセレクト

  • 2026.9.9
【Getty Images】
押井守監督
押井守監督【Getty Images】

上映時間:113分
監督:押井守
原作:ヘッドギア
脚本:伊藤和典
キャスト(声優):冨永みーな、古川登志夫、大林隆之介、榊原良子、竹中直人、根津甚八、日村勇紀

【作品内容】

近未来の東京、多足歩行作業機「レイバー」による犯罪のために設立された警視庁特車二課、その第2小隊のメンバーは、今は散り散りの人生を送っていた。

柘植行人は東南アジアの某国で、他の自衛隊員と共にゲリラの襲撃を受ける。柘植は本部に発砲許可を求めるが却下され、回避しろと指示される。その間に柘植を除く仲間の自衛隊員は殺されてしまう。

日本に戻った柘植は行方を眩まし、軍用機で横浜ベイブリッジを空爆するテロ事件を起こす。その事件は、東京を戦場に変える陰謀の始まりでもあった。

【注目ポイント】

原作は押井守を筆頭とする原作者集団「ヘッドギア」による人気メディアミックス作品『機動警察パトレイバー』の劇場版第2弾だ。ミリタリーサスペンス的要素が高く、「自衛隊員によるテロ」というショッキングな展開が鑑賞者を惹きつけただけではなく、庵野秀明や宮﨑駿といった超大物の先人たちからも、高く評価された。

本作の2年後、日本中を震撼させた「地下鉄サリン事件」が起き、その先見性にも注目されたが、当の本人は「アレには本当に参った。こんなことが起きるとは全く想定していなかった。ああいうことは妄想で終わることに価値がある。実際のテロは妄想よりもはるかに人間臭くて、惨めったらしくて、卑俗なものですよ」と困惑したといわれる。

菅原文太
菅原文太【Getty Images】

上映時間:100分
監督:深作欣二
原作:飯干晃一
脚本:笠原和夫
キャスト:菅原文太、北大路欣也、山城新伍、千葉真一、金子信雄、成田三樹夫、室田日出男、八名信夫、梶芽衣子、小松方正、川谷拓三、前田吟、松本泰郎、司裕介、木村俊恵、名和宏

【作品内容】

戦後間もない広島を舞台に、実在した伝説のヤクザ・美能幸三をモデルに、1950年頃から約2年にも渡る「広島抗争」を描いている。

元読売新聞社の社会部副編集長を務めた飯干晃一の、綿密に取材された原作を基にしており、広島最大の暴力団となった村岡組と反発勢力の大友組との抗争、そして村岡組の裏切りを描いた暴力団抗争の実録作品であり、この半年前に公開された前作『仁義なき戦い』(1973)の主役だった広能昌三(菅原文太)は仮出所して、この抗争を見守るような立場となっている。

【注目ポイント】

本作の主人公である“殺人鬼”と呼ばれた山上光治がモデルとした哀しきヒットマン・山中正治を北大路欣也が演じ、対立する大友勝利を千葉真一が演じ、その名優たちの競演と迫力満点の抗争場面により大ヒットし、その後の任侠映画のモデルケースとなった作品でもある。

監督の深作欣二は、ロケを広島で行うことを熱望していたが、当時、広島抗争はまだ終わっておらず、広島県警はこれを許可しなかった。

しかし、これを聞いた広島県出身の東映・岡田茂社長が直接、公安に掛け合い、県警に頼みこんで撮影許可が降りたというエピソードが残されている。撮影時は私服警官が現場の警備にあたったが、マル暴担当刑事と本物のヤクザとの見分けがつかず、ヤクザに囲まれて撮影しているみたいだったと、深作は後に語っている。

1作目『仁義なき戦い』、本作、3作目となる『仁義なき戦い 代理戦争』、4作目『仁義なき戦い 頂上作戦』、そしてシリーズ最終作『仁義なき戦い 完結編』と、深作欣二が手がけた5本の作品は甲乙つけがたく、すべて傑作と言っていい。とはいえ、なかでも2作目となる『広島死闘篇』はシリーズ最高傑作として名高い。

その理由は数あれど、シリーズ全体でも1、2を争う人気キャラ・大友勝利の登場および、演じ手である千葉真一(当時、飛ぶ鳥を落とす勢いだった)の気迫の名演技に触れないわけにはいかない。手には常に木刀を持っており、少しでも癪に触ると手当たり次第に暴力をふるう…日本映画史上最狂の登場人物と言っても過言ではないだろう。

サブキャラクターによる八面六臂の活躍が魅力の『広島死闘篇』。主役の菅原文太の出番は相対的に少ない(シナリオを読んだ菅原がゴネたというエピソードも残されている)のはネックだが、逆に言うと、主演俳優の力に頼らず、シナリオ、脇役、小道具、衣装、ロケ地など映画を構成するすべての要素を輝かせることで、力強い作品を成立させていると言える。

未見の方はぜひ見てみてほしい。

松田龍平
松田龍平【Getty Images】

上映時間:122分
監督:吉田照幸
原作:東直己
脚本:古沢良太
キャスト:大泉洋、松田龍平、北川景子、前田敦子、鈴木砂羽、リリー・フランキー、田口トモロヲ、志尊淳、松重豊、野間口徹、マギー、安藤玉恵、正名僕蔵、篠井英介、坂田聡、土平ドンペイ、斎藤歩、前原滉、天山広吉、片桐竜次、今村美乃、栗山英樹

【作品内容】

ススキノを知り尽くす探偵のもとに、相棒の高田が人探しの依頼を持ち込む。失踪した女子大生・諏訪麗子(前田敦子)の調査を開始した探偵たちは、出会ったモデル事務所のオーナー・マリ(北川景子)に翻弄されるうちに、いつしか、裏社会とズブズブの関係にある経済界の大物・北城仁也(リリー・フランキー)の存在に行き着く。

さらに、事件を追ううちに、その背景には毛ガニの密猟や覚せい剤の裏取引があることに気付いていく…。

【注目ポイント】

東直己による推理小説『ススキノ探偵シリーズ』を原作とする人気ハードボイルド・サスペンスシリーズの第3作だが、本作はオリジナルストーリーとして、札幌・ススキノを舞台に、探偵役の大泉洋と、その相棒の高田(松田龍平)のコンビが、女子大生の失踪を発端とする大事件に巻き込まれていく。

原作に準じた前2作と比較し、アクションシーンが増えるなど、劇場版ならではの軽妙なタッチでストーリーが進んでいく。

大泉洋と松田龍平のコンビも息ピッタリで、ヒロイン役として北川景子、前田敦子、鈴木砂羽の3人が登場。さらには、当時の札幌市長やファイターズの栗山秀樹監督まで出演するなど、これまで以上に“札幌愛”にあふれた作品となっている。

レトロ感漂う和風ハードボイルド作品だが、シリアスさの中に、軽妙さがほど良く加わり、キャストの持ち味を最大限に生かしたキャスティングが光る作品として、翌年の日本アカデミー賞では優秀主演男優賞に大泉洋が、優秀助演男優賞に松田龍平が、優秀助演女優賞に北川景子が選出された。

庵野秀明監督
庵野秀明監督【Getty Images】

上映時間:155分
原作・企画・脚本・総監督:庵野秀明
キャスト(声優):緒方恵美、林原めぐみ、宮村優子、坂本真綾、三石琴乃、山口由里子、石田彰、立木文彦、清川元夢、山寺宏一、神木隆之介

【作品内容】

『エヴァンゲリオン新劇場版』4部作の完結編。

大災害後の世界を舞台に、人造人間兵器「エヴァンゲリオン」のパイロットとなった少年少女たちと、第3新東京市に襲来する謎の敵「使徒」との戦いを描いている本作。

惣流・アスカ・ラングレーは、主人公である碇シンジとアヤナミレイを「ニアサードインパクト」と呼ばれる災害を生き延びた人が暮らす第三村に連れてくる。シンジはそこで旧知のトウジやケンスケとの交流やアヤナミレイとの別れを経て立ち直り、AAAヴンダーに戻る決意をする。

AAAヴンダーは、「フォースインパクト」を阻止すべく南極にいるゲンドウの元に乗り込むが、全てはゲンドウの思惑通りだった。そして、「フォースインパクト」が発動されようとしたとき、シンジはゲンドウを止めるためマイナス宇宙に向かう…。

【注目ポイント】

1995年からテレビ放送され、第3次アニメブームのきっかけとなり、その世界観は「セカイ系」と呼ばれ、後発作品に影響を与えた大人気シリーズの劇場4部作の完結編。新型コロナによる緊急事態宣言により、2度の公開延期を経たものの、観客動員数は655万人を超え、興行収入は102.2億円という記録的な大ヒットを記録。

さらには、前3作の『序』(2007)、『破』(2009)、『Q』(2012)が、日本アカデミー賞において「優秀アニメーション作品賞」にとどまった一方、本作でついに「最優秀アニメーション作品賞」に輝いた。

残酷さと美しさを併せ持つラストシーンと、全てのエヴァンゲリオンを消滅させるという大団円のストーリーに、長年この作品を楽しんできたファンも満足させ、「終わってほしいけど、終わってほしくない」といった感情を抱かせるものだった。

庵野秀明は、うつ病を抱えながらこの作品を完成させたといわれており、病を克服した後は、『シン・仮面ライダー』(2023)などの“シン・シリーズ”の製作に意欲的にこなしている。

鈴木亮平
鈴木亮平【Getty Images】

上映時間:139分
監督:白石和彌
原作:柚月裕子
脚本:池上純哉
キャスト:松坂桃李、鈴木亮平、村上虹郎、西野七瀬、音尾琢真、早乙女太一、渋川清彦、毎熊克哉、筧美和子、青柳翔、斎藤工、中村梅雀、滝藤賢一、矢島健一、三宅弘城、宮崎美子、寺島進、宇梶剛士、かたせ梨乃、中村獅童、吉田鋼太郎

【作品内容】

前作主人公の遺志を継いで地元の裏社会に潜入した刑事が最凶の“悪魔”の出所をきっかけに壮絶な抗争に巻き込まれていく姿を描いている。

3年前に暴力組織の抗争に巻き込まれて殺害された刑事・大上章吾(役所広司)の跡を継ぎ、広島の裏社会に潜入する刑事・日岡秀一(松坂桃李)。裏の社会を取り仕切る日岡に、上林組組長・上林成浩(鈴木亮平)が立ちはだかる。上林によって危うい秩序が崩されていく…。

【注目ポイント】

広島を舞台に警察とやくざの攻防戦を描いた柚月裕子の小説『孤狼の血』シリーズを映画化した『孤狼の血』(2018)の続編。前作は日本アカデミー賞を受賞した。

本作は原作では描かれていないオリジナルストーリーとなっているが、その分、残忍さが強調されたストーリーで、マル暴刑事として独り立ちした日岡刑事役の松坂桃李の狂気をたたえた演技と、悪役として邦画の歴史に残るほどの怪演を見せた鈴木亮平の存在感も光り、迫力と怖さが倍増している。激しい抗争の末、互いに血を流し合うシーンもあり、「R15指定」作品となっている。

ヤクザ映画を得意とする白石和彌監督によって、観衆を恐怖に陥れる方向に振り切っており、原爆スラムに集う在日韓国人の存在にも触れている。フィクションでありながら、戦争の跡がまだ色濃く残っていた描写もあり、昭和臭が漂う血生臭い世界観は、令和の世において、時代を越えて逆に新鮮味があり、センセーショナルな作品となった。

豪華キャスト陣の中で最も印象的な演技を見せたのは、何といっても組長役を演じた鈴木亮平だろう。肉体派かつ正統派のイメージが強いが、本作では、残虐な絶対悪として君臨し、新境地を開拓している。

原作が存在した前作と比較して、ストーリーの甘さを指摘する声もあったが、それを超越したド派手なバイオレンス作品として評価された一作だ。

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