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挨拶する程度の先輩。「今日は北側から入ってきたよね」と言われ、私が気づいた違和感

  • 2026.9.8
挨拶する程度の先輩。「今日は北側から入ってきたよね」と言われ、私が気づいた違和感

挨拶する程度の先輩が、私の講義を知っていた

大学のサークルに、一つ上の先輩がいた。学部は違っていて、特に親しいわけでもない。

会えば挨拶をして、たまに少し世間話をする程度の間柄だった。

ある日、講義棟の廊下ですれ違ったとき、先輩が何気なく言った。

「三限、休講だったんだね」

「あ、はい」

少し驚いたものの、そのときは深く考えなかった。

休講の知らせは掲示にも出る。同じ学部の知り合いから聞いたのかもしれないし、誰かが話しているのを耳にしたのかもしれない。

けれど、それから似たことが何度か続いた。

図書館で借りた本の題名を言われたり、昼に売店で買ったものを当てられたりした。ある日は、建物に入った場所まで知られていた。

「今日は北側から入ってきたよね」

「よく見てますね」

「たまたまだよ」

先輩はいつも笑っていた。強い口調でもなく、嫌なことを直接言われたわけでもない。

だからこそ、私は「気にしすぎなのかもしれない」と思った。変だと感じながらも、たまたま見かけることが多いだけなのだろうと、自分に言い聞かせていた。

月に2、3回のカフェで言われたこと

ある火曜日、講義が終わったあと、学内のカフェに入った。

その店を利用するのは月に2、3回ほどだった。行ったときには窓ぎわに座ることが多かったが、その日はなんとなく奥の席を選んだ。

飲み物を持って席につき、鞄を置いたところで、店内に先輩がいることに気づいた。

先輩は私のほうへ来ると、奥の席を見ながら言った。

「今日は奥なんだ。いつも窓ぎわなのに」

私は一瞬、返事ができなかった。

窓ぎわに座ることが多いとはいえ、毎週来ている店ではない。誰かに「いつもここに座る」と話した覚えもなかった。

先輩は気にした様子もなく、近くの席に座った。

そのとき初めて、これまで言われたことが一つにつながった気がした。

講義の休講。借りた本。売店で買ったもの。建物に入った場所。そして、カフェで座る席。

どれも一つだけなら偶然で済ませられることだった。けれど、自分でも意識していなかった行動を、別の人が覚えていることが急に怖くなった。

それから私は、サークルへ行く回数を減らした。

学内でも、できるだけ友人と一緒に行動するようになった。カフェでは決まった場所に座らず、そのとき空いている席を選ぶようになった。

友人に先輩のことを話したこともある。

「たまたま行動範囲が同じなんじゃない?」

そう言われると、私もそれ以上うまく説明できなかった。

脅されたわけでも、触られたわけでもない。先輩が何かをしようとしていたのかも分からない。ただ、知られているはずのないことを何度も知られていた。その事実だけが、ずっと引っかかっていた。

卒業してから連絡先を消し、それ以来、先輩とは会っていない。

悪意があったのかは、今も分からない。

それでもカフェに入ると、私は今でも窓ぎわの同じ席に続けて座らないようにしてしまう。

あの人が、いつ、どこで私を見ていたのか。それだけは最後まで分からなかった。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた20代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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