1. トップ
  2. エピソード
  3. 「ノーマネー、リトルマネー」日本語がなかなか伝わらない客。だが、店員の誠意ある対応に救われた瞬間

「ノーマネー、リトルマネー」日本語がなかなか伝わらない客。だが、店員の誠意ある対応に救われた瞬間

  • 2026.9.6
「ノーマネー、リトルマネー」日本語がなかなか伝わらない客。だが、店員の誠意ある対応に救われた瞬間

レジの前で、やり取りが止まっていた

休みの日の昼、よく行くカフェに立ち寄ったときのことです。

店内は混んでいて、注文の列には何人も並んでいました。

私の少し前には、旅行で来ているらしい人がいました。

足元には大きなキャリーバッグがあります。

その人がレジで注文を終え、カードのようなものを読み取り機にかざしました。

しかし、支払いは完了しませんでした。

もう一度かざしても同じです。

店員さんが画面を確認してから、声をかけました。

「こちら、残高が不足しておりまして…」

しかし、相手は困ったように首をかしげています。

店員さんは少しゆっくりした日本語でもう一度説明しましたが、やはり伝わっていないようでした。

列はそこで止まりました。

後ろにいた私たちも様子を見ていましたが、英語でうまく説明できる人はいないようです。

私も何か言えればと思ったものの、すぐに使える言葉が浮かびませんでした。

完璧ではない言葉で、表情が変わった

すると店員さんは、相手が持っているカードを指さし、次に指先で小さな幅を作りました。

そして少し考えてから、笑顔で言いました。

「ノーマネー、リトルマネー」

正しい英語なのかは、私にも分かりません。

けれど、その言葉と手ぶりを見た瞬間、相手の表情が変わりました。

「アー、オーケー、オーケー」

どうやら、使える残高が足りないことは伝わったようでした。

店員さんは続けて、レジのそばにあったタブレットを操作しました。

翻訳した文章を画面に表示し、相手に見せます。

画面を読んだその人は何度かうなずきました。駅へ行けばチャージできる、という案内だったようです。

「サンキュー、サンキュー」

店員さんも駅の方向を指して、「ステーション、オーケー」と答えていました。

その人は何度も頭を下げると、キャリーバッグを引いて店を出ていきました。

止まっていた列も、ようやく動き始めました。

店員さんが流ちょうな英語を話したわけではありません。それでも、言葉を言い換え、手ぶりを使い、最後は翻訳画面を見せることで、必要なことはきちんと伝わっていました。

自分の番になっていつもの飲み物を注文しながら、私は少しだけ感心していました。

うまく話せないからと黙ってしまうより、知っている言葉や身ぶりでも、まず伝えようとしてみる。あの日のレジで見たやり取りを、今でもときどき思い出します。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ