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「まだご家族にも会っていないのに」同居して1か月。挨拶前だった私が、初対面の家族の葬儀を手伝った時の本音

  • 2026.9.6

挨拶の日取りを、まだ決めていなかった

その人と暮らしはじめて、まだひと月ほどでした。

部屋の隅には段ボールが残り、食器も少しずつ買い足している途中でした。

その人のご家族には、まだ会ったことがありませんでした。

「来月あたり、挨拶に行こうか」

「そうだね。菓子折りも用意しないとね」

そんな話をしていた矢先、その人のお父さんが急に亡くなりました。

連絡を受けた夜、その人は携帯を握ったまま、しばらく動けませんでした。

家族と何度か電話をしていましたが、途中から同じことを聞き返すようになっていました。

「ごめん。ちょっと頭が回らない」

私は台所にあった紙を持ってきて、聞いた内容を書き留めました。

翌朝、代わりに3本の電話をかけた

その夜のうちに、ご家族との間で必要なことはある程度決まりました。

翌朝になってから、「電話だけ代わってもらってもいい?」と頼まれました。

私はメモを見ながら、葬儀社に確認の電話をしました。

次にお寺へ連絡し、聞いていた日取りを伝えました。

そして、香典の受付をお願いする方にも電話をかけました。

自分の家族の葬儀でもないのに、受話器を置くたびに手が震えていたのを覚えています。

葬儀にかかる費用も、私が出しました。

当時は恩を売るつもりなどなく、目の前のことを一つずつ終わらせることで精いっぱいでした。

ご親戚とは、その葬儀で初めて会いました。

本当なら菓子折りを持って、「はじめまして」と挨拶するはずだった人たちです。

「こんなときに、すみません」

「いえ、こちらこそ…」

お互いに何と言えばいいのか分からず、それ以上は言葉が続きませんでした。

あの日が、最初の家族の集まりになった

通夜のあと、私は出された弁当を膝に載せたまま、ほとんど箸をつけられませんでした。

挨拶へ行く予定さえ決まっていなかったのに、初めて会った日が葬儀になり、私はその準備まで手伝っていました。

「このために一緒に暮らし始めたのかな」

ふと、そんなことを思いました。

恨んでいたわけではありません。

ただ、あまりにもタイミングが重なりすぎて、気持ちが追いつかなかったのだと思います。

あれから何年か経ち、その人とは今も一緒に暮らしています。

あの日に電話番号や時間を書き込んだ紙も、引き出しの底に残っています。

当時は「どうして今なのだろう」と何度も思いました。

でも今は、あのときそばにいられてよかった、とも思います。

そう思えるようになるまでには、ずいぶん時間がかかりました。

ご親戚とは今も普通に会いますが、あの日のことをわざわざ話す人はいません。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた50代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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