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「生活費を5万ほど、貸してもらえないでしょうか」親戚からかかってきた電話。2週間後のお礼に引っかかった理由とは

  • 2026.9.5

電話の向こうで、その人は言いにくそうだった

五年ほど前のことです。

夕方、親戚から電話がかかってきました。

普段は年に一度会うかどうかで、向こうから電話をもらうこと自体がめずらしい相手でした。

家業がうまくいっていない時期だとは、以前から聞いていました。

しばらく世間話をしたあと、相手が急に黙りました。受話器の向こうで、小さく息を吸う音が聞こえます。

「あの…生活費を5万ほど、貸してもらえないでしょうか」

声は明らかに言いにくそうでした。

「一度だけです。本当に、一度だけですから」

その言葉を聞きながら、私はもう決めていました。返してもらえなくてもいい。そのつもりで渡そうと。

ただ、本人にはそう言いませんでした。

「お貸ししますね。落ち着いてからで大丈夫ですから」

「ありがとうございます。落ち着いたら、必ず」

「あげる」と言えば、かえって気を遣わせてしまう気がしたのです。貸すという形にしておいたほうが、相手も受け取りやすいだろう。私はそう考えていました。

後日、会ったときに5万円を白い封筒へ入れて手渡しました。

受け取った相手は、何度も「ありがとうございます」と頭を下げていました。

二週間後に届いた、小さなお礼

それから二週間ほどして、家に宅配便が届きました。

中には、きれいに包まれた菓子の箱と、短い手紙が入っていました。

手紙には、「大変助かりました。本当にありがとうございました」という言葉が書かれていました。

私はしばらく、その手紙を眺めていました。

返してほしいと思って渡したわけではありません。

それなのに、なぜか胸の奥に小さな引っかかりが残ったのです。

お菓子を送ってくれたことが嫌だったわけでもありません。お礼の言葉もうれしかった。それでも、「これでひとまず一区切りなのかな」と考えてしまった自分がいました。

自分でも、その気持ちがよく分かりませんでした。

しばらくして、夫にだけ話しました。

「でも、貸すって言ったんでしょう?」

夫は少し考えてから、そう言いました。

「だったら向こうは、ちゃんと借りたつもりなんじゃない?」

その言葉を聞いて、私はようやく気づきました。

返してもらわなくてもいいと思っていたのは、私の心の中だけです。相手に伝えたのは、あくまで「貸します」という言葉でした。

相手は、私が口にした言葉どおりに受け取っただけなのです。

それから五年。そのお金の話が親戚との間で出たことは、一度もありません。法事などで会えば、今までどおり普通に話しています。

私も、今さら返してほしいとは思っていません。

ただ、あのとき感じた引っかかりだけは、長く心に残りました。

返してもらわなくてもいいと決めたのなら、最初からそう伝える方法もあったはずです。

反対に、貸すと言うのなら、自分の中でも「貸したお金」として受け止めるべきでした。

今も家の引き出しには、あのときと同じような白い封筒が何枚か入っています。

それを見るたびに思い出します。お金を渡す前に決めておくべきだったのは金額だけではなく、自分がどんな気持ちで渡すのか、そして相手に何と伝えるのかだったのだと。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた50代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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