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風船が木の枝に引っかかり泣いた男の子。「また買おうね」となだめる母親、だが、中学生や周りの大人の行動で状況が一変

  • 2026.9.6

赤い風船が、木の高い枝に引っかかった

休みの日の午後、近所の公園でベンチに座っていたときのことです。

小さな男の子がお母さんと歩いてきました。手には赤い風船を持っています。ところが急に風が吹き、指でつまんでいた紐がするりと抜けました。

風船はそのまま上へ上がり、少し先にある木の枝に引っかかりました。

男の子は木の下まで走っていきましたが、もちろん手は届きません。しばらく見上げたあと、とうとう泣き出しました。

「また買おうね」

お母さんがしゃがんで声をかけます。それでも男の子は首を振り、枝に揺れている赤い風船を見つめていました。

近くにいた私たちも木の下へ集まりました。

枝はかなり高い位置にありましたが、幸い風船の紐の一部が枝から下へ垂れています。ただ、それでも人の手が届く高さではありません。

折りたたみ傘を伸ばしてみた人もいましたが、あと少し届きませんでした。

「管理事務所に聞いてきます」

一人の男性がそう言って、公園の奥へ向かいました。

サッカーをしていた中学生も、木を見上げていた

そのころ、近くの広場でサッカーをしていた中学生が三人、こちらへやってきました。

「あの赤いのですか?」

一人が聞くと、お母さんがうなずきました。

三人も木の下から見上げましたが、無理に登ろうとはしません。どうしたら取れるだろう、と話しながら、その場で待っていました。

やがて、先ほどの男性が管理事務所の職員の方と戻ってきました。職員の方は、木の手入れに使う長い柄の道具を持っていました。

「紐を引っかけられるか、やってみますね」

そう言って、枝を傷つけないようにゆっくり道具を伸ばします。

一度目は紐が逃げました。二度目も、風が吹いてうまく引っかかりません。

三度目でようやく、道具の先に紐がかかりました。

職員の方が少しずつ柄を下げていくと、垂れていた紐の先もこちらへ近づいてきます。

ただ、あと少しというところで風が吹き、紐が大きく横へ揺れました。

その先に立っていたのが、中学生の一人でした。

「あ、届く」

その子が一歩踏み出して手を伸ばし、揺れてきた紐をつかみました。

男の子は、受け取った風船より先に顔を見上げた

中学生は紐を離さないように持ったまま、男の子のところへ歩いていきました。

そして少しかがんで、赤い風船を差し出します。

「はい、どうぞ。木に引っかかってただけだよ」

男の子は風船を受け取りました。

けれど、すぐに風船を見るのではなく、まず中学生の顔を見上げていました。

お母さんが「ありがとうございました」と職員の方や周囲の人たちに頭を下げます。中学生は少し照れたように笑うと、友達と一緒にサッカーをしていた広場へ戻っていきました。

帰るころ、男の子はもう泣いていませんでした。

赤い風船の紐は、今度はお母さんが男の子の手首にゆるく巻いていました。

誰か一人が特別なことをしたわけではありません。管理事務所へ走った人がいて、道具を持ってきてくれた職員の方がいて、最後に届いた紐を中学生がつかみました。

それでも、風船を差し出されたときの男の子の顔だけは、今でもよく覚えています。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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