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「これ、返品したいんだけど!」3か月前に買った上着を持ち込んだ客。だが、上着を見て感じた違和感とは

  • 2026.9.4

閉店間際、カウンターに置かれた一枚

服を売る店でアルバイトをしていたころの話です。

秋のはじめ、閉店まであと十分ほどになったころ、私は店内を整えながら閉店作業の準備をしていました。

その日はもうほかのお客様もおらず、あとは時間になれば店を閉めるだけだと思っていました。

そこへ、男性のお客様が入ってこられました。

手には、きれいにたたまれた上着が一枚ありました。

男性はまっすぐレジへ来ると、その上着をカウンターに置きました。

「これ、返品したいんだけど!」

見ると、タグはついていません。

襟や袖口には少し使用感があり、生地にも洗濯したあとのようなやわらかさがありました。

「何回か着たんだけど、やっぱりサイズが合わなくて。買ったのは3か月くらい前かな」

私は少し戸惑いながら、レシートをお持ちか確認しました。

「いや、もうないよ」

男性は悪びれた様子ではありませんでした。本当に、サイズが合わなければ返品できると思っているように見えました。

私はその店で働き始めて、まだ一年も経っていませんでした。難しい返品対応を一人ですることには、まだ緊張するころです。

ただ、この場合に伝えることだけは、先輩から教わっていました。

「着てみないと分からないでしょう」

私は一度息を整えてから、男性に説明しました。

「申し訳ありません。レシートがなく、一度ご使用になった商品は返品をお受けできないんです」

すると男性は、少し眉を寄せました。

「でも、着てみないとサイズなんて分からないでしょう」

「そうですよね。ただ、ご使用後の商品についてはお返しできない決まりになっていまして…」

「合わない服を持っていても仕方ないんだけどな」

声には不満がにじんでいました。

私は言い返すのではなく、もう一度だけ店の決まりを説明しました。

男性はしばらく上着を見下ろしていましたが、やがて小さく息を吐きました。

「…じゃあ、もういいよ」

怒鳴ることも、商品を置いていくこともありませんでした。男性は自分で上着を持ち、そのまま店を出ていきました。

「ありがとうございました」

いつものように声をかけ、扉が閉まってから、私はようやく肩の力を抜きました。

断るときほど、余計なことを言わない

翌日、その出来事を先輩に話しました。

すると先輩は、「ちゃんと決まりを説明できたなら、それで大丈夫だよ」と言ってくれました。

私は、上着の毛玉や洗濯した跡について細かく指摘しませんでした。

「こんなに着ていますよね」と責めても、話がこじれるだけだったと思います。

必要だったのは、相手を言い負かすことではなく、返品できない理由を落ち着いて伝えることでした。

接客を続けていると、断らなければならない場面もあります。そんなときほど、余計な一言を加えず、必要なことだけを伝える。

あの日の経験は、その後の私にとって意外と大きな教訓になりました。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた20代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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