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妻より先に起きて朝食を作り続けた俺が、手つかずの皿の前で気付いたこと

  • 2026.9.1
ハウコレ

妻のためにと続けた朝食が、いつしか妻を追い詰めていました。箸を置いた妻がこぼした本音に、俺は自分の優しさの形を考え直すことになります。シンクに下げた皿の上で、目玉焼きは焼きたてのままの形を残していました。

良かれと思って続けた食卓

結婚してから、俺は妻より先に起きて台所に立つようになりました。共働きで帰りの遅い妻に、出勤前くらいはゆっくりしてほしかったからです。味噌汁に焼き魚、それに小鉢。品数を増やすたびに「ありがとう」と言ってもらえるのがうれしくて、献立は少しずつ豪華になっていきました。妻の箸が進まない日があっても、疲れているのだろうとしか考えていませんでした。

箸を持たない妻

その日、席に着いた妻は、湯気の立つ皿を前にしたまま箸に手を伸ばしませんでした。

「ごめん。今日は食べられない」

「口に合わなかった?」

「そうじゃないの。作ってくれるのは、うれしいの」

妻はそれだけ言うと、コーヒーも飲まずに家を出ていきました。片付けをしながら、俺はどこで間違えたのかを考え続けました。手間を惜しんだ覚えも、味を落とした覚えもありません。むしろ、前より頑張っていたはずでした。

帰宅後に聞いた本音

その日の帰宅後、俺はリビングで妻に向き合いました。責めるつもりはなく、ただ理由が知りたかったのです。妻はマグカップに視線を落としたまま、ゆっくり話し始めました。

「起きたときから、食べることが決まっているのが苦しかったの」

「断ったら、あなたをがっかりさせると思って言えなかった」

妻にとって出勤前は、自分のペースで支度を整えたい時間だったそうです。それでも俺の気持ちはうれしくて、受け取るだけの毎日にも、もらってばかりの自分にも、落ち着かなさが積もっていたのだと言いました。

「気付かなくて、ごめん」

頭を下げた俺に、妻は首を振って「明日は、私に作らせて」と言いました。

「私も、あなたに用意したいの」

そして...

翌朝、台所に立ったのは妻でした。俺の前に置かれたのは、トーストとコーヒーだけの盆です。自分の分を好きな順番で口に運ぶ妻は、久しぶりに気持ちよさそうに見えました。あの日から、台所に立つ日は交代制です。妻の作る日は俺が受け取り、俺の作る日は妻がゆっくり味わってくれる。毎日でなくなっただけで、同じ食卓がこんなに軽くなるのかと思っています。

(30代男性・会社員)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

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