1. トップ
  2. エピソード
  3. 「特急券なんて聞いてない」と言った夫婦。発車直前、乗ろうとした夫を駅員さんが止めた瞬間

「特急券なんて聞いてない」と言った夫婦。発車直前、乗ろうとした夫を駅員さんが止めた瞬間

  • 2026.9.22
「特急券なんて聞いてない」と言った夫婦。発車直前、乗ろうとした夫を駅員さんが止めた瞬間

一本前の特急を見ていた夫婦

仕事の用事で特急に乗る予定があった日のことです。予定より少し早く駅に着いた私は、一本前の特急が停まっているホームで、次の列車を待っていました。

すると、開いたドアの近くで年配の夫婦が駅員さんに声をかけていました。

夫はボストンバッグを提げ、妻は紙袋を抱えています。二人は停車中の列車を指しながら、目的地まで行くか尋ねているようでした。

駅員さんが「特急券はお持ちですか」と確認すると、夫が手にしていた切符を差し出しました。

「こちらは乗車券ですね。この特急をご利用になるには、別に特急券が必要なんです」

夫は驚いたように切符を見直しました。

「えっ、特急券なんて聞いてないよ。これを買えば乗れると思ってたんだけど」

「この切符で目的地までは行けます。ただ、この特急をご利用になる場合は特急券も必要になります」

すると妻も困った顔で口を挟みました。

「でも、切符はちゃんと買ったのよ。特急券なんて聞いてないわ」

二人とも、決まりを無視しようとしているというより、手元の切符だけでこの列車にも乗れると思っていたようでした。

「乗ってから払うんじゃだめなの?」

その間にも発車時刻は近づき、ホームに案内放送が流れ始めました。

夫は時計を見上げると、少し焦った声で駅員さんに尋ねました。

「もう出るんだよね?乗ってから払うんじゃだめなの?」

駅員さんは首を横に振りました。

「申し訳ありません。こちらの列車は、乗る前に特急券をご用意いただく必要があります」

「え、今からじゃ間に合わない?」

夫はそう言いながら、開いているドアのほうへ足を向けました。

その瞬間、駅員さんが一歩前に出ます。

「お客様、すみません。いったんお待ちください」

少し強めの声でしたが、怒鳴っているわけではありません。夫もそこで足を止めました。

駅員さんは続けて、次の特急を利用できることと、先に特急券を購入するよう説明しました。

すると妻が夫の袖を軽く引きました。

「もう次にしよう。ちゃんと買ってから乗ればいいじゃない」

夫はまだ時計を気にしていましたが、やがて「…分かったよ」と短く答えました。

二人は券売機の場所を確認し、その場を離れていきました。

次の特急を待つ列にいた二人

やがて一本前の特急が発車しました。

数分ほどのやり取りでしたが、近くで見ていた私も少し緊張していました。駅員さんは夫婦を責めることなく、必要なことだけを説明し、乗ろうとしたときにはきちんと止めていました。

しばらくすると、先ほどの夫婦が戻ってきました。

今度は手元の切符を確認しながら、私と同じ次の特急の乗車位置に並びます。

妻が小さな声で、

「最初から分かってたらよかったのにね」

と言うと、夫も少し落ち着いた様子で、

「まあ、次に乗れるならいいよ」

と答えていました。

少し離れたところでは、先ほどの駅員さんが別の乗客を案内しています。その声は、さっきの出来事を引きずっていないような、いつも通りの落ち着いたものでした。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ