1. トップ
  2. 10年で50倍超!「私たちの代で終わり」を終わりに…地域の足や地元の味を守る新しいカタチ

10年で50倍超!「私たちの代で終わり」を終わりに…地域の足や地元の味を守る新しいカタチ

  • 2026.8.30

後継者不足により、暮らしに欠かせない企業や商店が姿を消しつつあります。
そうしたなか、第三者への『M&A事業承継』で、地域のインフラを守る動きが注目されています。

『第三者』に事業承継したタクシー会社の元社長は「私がそのまま続けていれば10年で終わった会社が30年に延びた」と話します。

事業と未来の『のれん』を次の世代へ引き継ぐ挑戦のリアルに迫ります。

「自分の寿命=会社の寿命にしたくない」

十勝の大樹町にあるタクシー会社「雅(みやび)交通」は、4台のタクシーと3台のジャンボタクシーで、病院や役場への送迎のほか、観光客も運んでいます。

給食の配送やコミュニティーバスの運行も担う、まさに、町民の暮らしを支える存在です。

Sitakke

6年前に、父親から会社を引き継いだ吉田雅人さん。
55歳でまだまだ働き盛りですが、2026年、大きな決断をしました。

「大樹町における公共インフラ、みなさんの生活を支える大切な足だと気づいた。自分の寿命=雅交通の寿命という状況を何とかしたかった」

1人娘がこの春東京に就職したため、第三者に会社を譲ることにしたのです。

マチの活気を守るため

Sitakke

後継者がいない吉田さんが頼ったのは、北海道事業承継・引継ぎ支援センターです。
登録すると、事業の引継ぎを希望する企業や個人と、公平・中立な形でマッチングを支援してくれます。

幸い、引き受け手は町内ですぐに見つかりました。
運送会社の「エスクリーン」です。

「エスクリーン」の社長で、現在は「雅交通」の社長も務める杉村聡さんは「タクシーがなくなるとこのマチの活気がなくなるので、何とかしたいと思った」と話します。

2人が株式の譲渡契約を交わし、「雅交通」は「エスクリーン」のグループ会社になりました。

元社長の吉田さんは3年がかりで、杉村社長に引き継ぎを進めます。
5人いる従業員の生活も、これでひと安心です。

吉田さんは「自分のことだけ考えていたら、多分こうはならなかった。やはり視点を変えたことで今回事業承継できた」と振り返ります。

後継者は札幌から来た『娘』

Sitakke

日高の平取町でも、M&Aが行われていました。
中心部から車で30分ほどにある「細川商店」です。

創業約80年。
パンや野菜、生鮮食品のほか、日用品などもそろえ、細川幸夫さん(78)と幸子さん(71)が夫婦で切り盛りしてきました。

農村地域のため、開店はなんと朝の6時半。
幸子さん手作りのお惣菜も並び、手軽にお昼を食べたい農家から人気です。

年をとって体力的に厳しくなり、廃業も考えていましたが、「地域のために店を残したい」と後継者を募集していました。

幸子さんは、事業承継を考えたのは13〜14年前だと話します。

「年を重ねると仕入れも大変。客も店がなかったら困る」

Sitakke

2026年4月、後継者に手を挙げたのは、札幌出身の権平まゆさんでした。

権平さんは2025年、地域おこし協力隊として、平取町にやってきました。

以前、沖縄で出会った商店と「細川商店」が重なり、店の店舗や備品、屋号などをまるまる引き継ぐ契約を結びました。

細川さん夫婦は「自分たちが動ける間は手伝いたい。娘だよ」と話します。

温かく迎えてくれた2人から経営のノウハウを学びながら、権平さんは店のリニューアルも進めています。

権平さんのアイデアで、店の一角をイートインスペースに変えて地域の社交場としても盛り上げようと、夢を膨らませています。

未来を変える新たな選択肢

Sitakke

北海道事業承継・引継ぎ支援センターによりますと、センターが扱った事案の成約件数は2014年は3件だったものが、2025度は164件に増加しています。

内訳は、親族内での承継が約3割、役員や従業員は1割、そして実は6割ほどが『第三者』によるM&Aだということです。

支援センターは、M&Aのポイントとして、譲る側と受ける側、そして顧客や従業員の『三方よし』の関係性を挙げています。
そのためには、公平・中立な支援がカギになるといいます。

また、親族や従業員に引き継げない場合は廃業を選択しがちですが、『第三者』への承継ができるという理解が広がってほしいと話しています。

地域のインフラを守るために、第三者が企業や店を引き継ぐことについて、HBCテレビ「今日ドキッ!」のスタジオでは「今後もさらに広がってほしい」という期待の声が聞かれました。

ゲストコメンテーターのアンヌ遥香さんは「番組のコーナーに出てくる食堂などが『自分たちが引退したらこの店も終わりかな』と話す店が多くて、もったいないなと思っていた。あきらめずにセンターに相談すれば、また違った未来が開けることを色んな人に知ってほしい」と話します。

また、ゲストコメンテーターの竹部礼子さんは「事業は0から1にする面白さもあるが、すでに地域に根ざしてお客さんがついているところに自分が入って、アイデアを出して、さらに成長させていくのも魅力がある」と話しました。

取材・文:HBC報道部
編集:Sitakke読者編集部ぬまぬま
※掲載の内容は、HBC「今日ドキッ!」放送時(2026年7月23日)の情報に基づきます。

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ