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「やっぱり覚えてない?」妻のママ友に突然そう聞かれた。だが、思い出せなかった私を妻が救ってくれた瞬間

  • 2026.8.30

玄関に並んだ靴を見て、少し身構えた

仕事を終えて家に帰ると、玄関に見慣れない靴が何足も並んでいました。

妻の友人が来ているのだろうと思いながらリビングの扉を開けると、案の定、妻のママ友らしい女性が四人ほど座っています。

「あ、お邪魔してます」

「どうも。ごゆっくり」

軽く頭を下げると、何人かがこちらを見て笑いました。私はこういう集まりが少し苦手なので、そのまま奥へ行こうとしました。

キッチンにいた妻が、私の顔を見るなり小声で言います。

「ごめん、今日ちょっと人数多くなっちゃって」

「いいよ、全然。俺、部屋にいるから」

迷惑というわけではありません。ただ仕事帰りで疲れていたこともあり、できれば静かに過ごしたい気分でした。

いつものように、まず洗面所でうがいをしようと廊下へ向かいました。

「やっぱり覚えてない?」と笑われた

すると後ろから、女性の声がしました。

「あの、ちょっといいですか」

振り向くと、さっきリビングで挨拶した女性の一人が立っています。

「さっき挨拶したとき、私のこと分かりませんでした?」

思わず顔を見つめてしまいました。

どこかで会っただろうか。仕事関係ではない。近所の人でもない。頭の中で必死に探しましたが、何も出てきません。

そんな私の顔を見て、女性は少し笑いました。

「やっぱり覚えてないか。高校、一緒だったんです」

そして旧姓を教えてくれました。

「えっ……高校?」

「三年のとき、同じクラスでしたよ」

そこまで聞いても、はっきりした顔が浮かびません。

分かったふりをするのも失礼な気がして、私はとうとう正直に言いました。

「ごめんなさい。名前は聞いたことある気がするんですけど……まだ思い出せなくて」

すると女性は、少し肩をすくめて笑いました。

「ですよね。私、当時かなり地味だったから」

「いや、そういうことじゃなくて。俺が本当に人の顔を覚えてなくて……」

必死に言い訳をしていると、麦茶を持った妻が廊下に出てきました。

「え、何?二人、知り合いだったの?」

「高校の同級生だって」

「えー、そんな偶然あるんだ」

妻が驚くと、女性も「私も旦那さん見てびっくりした」と笑います。

気まずかった空気が少しだけやわらぎました。

思い出せなかったけれど、少しうれしかった

その夜、みんなが帰ったあと、妻が言いました。

「あの人、あなたが帰ってきた瞬間に『もしかして同級生かも』って気づいたみたいだよ」

「そうなんだ。申し訳ないな。俺、全然思い出せなかった」

「でも、覚えててもらえるのってちょっとうれしくない?」

そう言われて、確かにそうだと思いました。

結局、その女性の高校時代の顔は今もはっきり思い出せません。

それでも、自分が忘れてしまっていた高校時代のどこかに、こちらを覚えていてくれた人がいた。そのことだけは、妙に心に残っています。

あのとき無理に「覚えてます」と言わなくてよかったのかもしれません。気まずそうにしながらも笑ってくれた相手の顔は、今度こそ忘れない気がしています。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた50代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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