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数字を見るだけで頭痛がする人にも読んでほしい! 数学オリンピックを目指す高校生たちの熱すぎるマンガ『数学ゴールデン』【書評】

  • 2026.8.28
数学ゴールデン9巻 藏丸竜彦/白泉社
数学ゴールデン9巻 藏丸竜彦/白泉社

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高校時代、数学が得意だという理由だけで数学オリンピックの問題集を手にとり、秒で放り投げたことがある。これは無理、次元が違いすぎると、二度と自分でやろうとは思わなくなったのだけど、もしかしたら違ったのかもしれない。マンガ『数学ゴールデン』(藏丸竜彦/白泉社)を読みながらそう気づいた。ただ難しそうだから、だけじゃない。数字の世界に深くもぐりこみ、ちょっとやそっとじゃ太刀打ちできない相手に挑み続けなければいけない、その気配に腰が引けたのかもしれない。数学的センスがあるかどうかの前にまず、戦う勇気がなかったのだと。

バトルマンガのようで壮大な冒険物語のようでもある、数学マンガ

同作は、数学オリンピックをめざす高校生たちの物語である。主人公の小野田春一は、高校の新入生代表挨拶で数学オリンピックの日本代表になることを宣言する。春一が不合格だった第一志望のエリート高校ですら、その前年に本選を突破できたのは一人だけ、という壁の高さだけれど、どんなに無謀だといわれてもあきらめたくない気持ちが勝る。同じクラスの七瀬マミという、やはり数学に魅了された少女、そして、かつてオリンピックで銀メダルを獲得したことのある教師と出会い、青春のすべてをかけて春一は数学に向き合っていく。

個人的に、高校時代に数学が好きだったのは「基本の公式さえ覚えておけば、ひらめきでどうにかなる」から。知識量で最初から勝負が決まっているほかの科目よりも、勝負のしどころがあったからだ。でもそのひらめきは、行き当たりばったりでは生まれない。〈数学の中に潜って ときに泳ぎ ときに飛び回れるように ジタバタしていくつもり〉と春一が言うように、あらゆる規則性を学び、できうる限りの問題を解き、こうあるべきという思い込みをそのつど打ち壊していくことで、解答という勝利を導いていく。その姿はバトルマンガのようでもあり、「数学は頭の中の大冒険」と七瀬が言うように、壮大な冒険物語のようでもある

数学ファンにとどまらない、何かをがんばりたい人に刺さる物語

どんなに難しくても、無理だよと思っても、放り投げずに向き合い続ける。そのくりかえしで成長していく、春一と仲間たち。ときに仲間のひらめきにもヒントをもらい、切磋琢磨しながら成長していく姿に、読んでいて胸があつくなる。

正直いって、出題されている問題については、難しくてようわからんなあ、と思う読者も多いだろう。だからこそ、物語の途中で登場する「数字を見るだけで頭痛がする」というダイスケという少年の登場は、とても重要だ。春一たちとの出会いをきっかけに、少しずつ数学を好きになり、ついには数学甲子園にまで参戦する彼の成長ぶりも、個人的に推したい読みどころなのだが、やはり最新巻で注目すべきは、いよいよ数学オリンピックの本選に進んだ、春一と七瀬がいかに難問に立ち向かっていくかの、その姿。

どんな困難でも自分で何とかできると信じている、それこそが才能なのかもしれないといわしめた春一が、どこにも突破口を見つけられない難題をどう突破していくのか。数学ファンはもちろんのこと、何かをがむしゃらに頑張りたいけどなかなか踏ん張りがきかない、という人にこそ手にとってみてほしい。

文=立花もも

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