1. トップ
  2. エンタメ
  3. 交わらないようで、支え合っている。映画『平行と垂直』が描くきょうだいの物語

交わらないようで、支え合っている。映画『平行と垂直』が描くきょうだいの物語

  • 2026.8.28

誰かを想うことの温度を思いださせてくれる

©2026「平行と垂直」製作委員会

兄妹や姉弟という関係は不思議だ。家族だから近いはずなのに、友人や恋人とは違う距離感があって、何でも知っているようで知らないことも多い。

映画『平行と垂直』は、自閉スペクトラム症(ASD)の兄・大貴(役/安田章大さん)と、結婚を控えた妹・希(役/のんさん)の人生の転機を描くヒューマンドラマ。長年、兄を支えてきたと思っていた希。周囲のサポートを受けながら自立した生活を送る大貴。ふたりは互いを思いやりながら生きてきたが、希の結婚をきっかけに、そのバランスが少しずつ揺らぎ始める。

本作が印象的なのは、“支える側”と“支えられる側”という単純な関係性に落とし込まないところ。兄を守ってきたつもりだった妹は、実は兄に支えられていたことに気づく。そして兄もまた、自分なりの方法で妹を思い続けてきたことが浮かび上がる。人は誰かの助けを受けながら生きているし、同時に誰かを支えてもいる。その関係は思っている以上に曖昧で、だからこそ温かい。

©2026「平行と垂直」製作委員会

本作の企画でもある安田さんは、公開決定時に「誰かが言う普通は、とある誰かにとっては異常。誰かが言う異常は、とある誰かにとっては普通」とコメントを寄せ、そして「忘れないでください。『味方だよ。』」という言葉を作品に託した。

私たちは知らず知らずのうちに“違い”ばかりを見てしまう。でも本当に必要なのは判断することではなく、自分のなかにまだ存在しなかった価値観や感覚を受け取る力なのかもしれない。誰かを思うこと、待つこと、理解しようとすること。そんな日常にある小さな優しさに気づかせてくれる作品だ。

【8月28日公開】映画『平行と垂直』

©2026「平行と垂直」製作委員会

出演/安田章大 のん ほか

監督/小林聖太郎

原案・脚本/山野海

製作幹事・配給/東映ビデオ

toei-video.co.jp/heikoutosuichoku

TEXT=南雲凛子

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ