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「今日は少し濃いめで、汁物は熱めにしてほしい」毎週同じものを頼む客→いつもの席でなかった日に漏らした一言

  • 2026.8.29

同じものを頼むのに、注文だけが毎回少し違う人

学生の頃、小さな飲食店でアルバイトをしていました。

昼になると近所の人がふらりと入ってくる、定食屋のような店です。

そこに、毎週決まった曜日に来るお客さんがいました。座るのはいつも窓ぎわの端の席。注文するランチも、毎回同じでした。

ただ、頼み方だけが少し違います。

「今日は少し濃いめで、汁物は熱めにしてほしい」

「かしこまりました」

ある週は味付けを少し濃いめに、別の週は前回より控えめに。汁物についても「今日は熱めで」と頼まれることがありました。

私は聞き間違えないように注文を復唱し、そのまま厨房へ伝えていました。

同じ料理なのに毎回少しずつ希望が変わるので、正直なところ、その人が来る曜日は少し身構えていました。

料理を運ぶと、その人は一口食べてから、小さな声で言います。

「うん、今日はいいね」

誰かを呼び止めて褒めるわけでも、感想を長く話すわけでもありません。

それでも毎回のように聞こえるので、いつしか私もその一言を気にするようになっていました。

いつもの席が空いていなかった日

ある日、その人が来たとき、窓ぎわのいつもの席には別のお客さんが座っていました。

私は空いていた別の席へ案内しました。

その人は一度だけ窓ぎわを見ましたが、何も言わずに座ります。そしていつもと同じランチを、いつものように少しだけ希望を添えて注文しました。

料理を運び、私が離れようとしたときです。

「今日はちょっと落ち着かないな。いつもの席じゃないから」

責めるような言い方ではありませんでした。ただ、少し残念そうに窓のほうを見ています。

私はそこで初めて、その人にとって「いつもの席」も、毎週店に来る楽しみの一つだったのかもしれないと思いました。

それまでの私は、細かな注文ばかりを気にしていました。同じ料理なのに、どうして毎回少しずつ変えるのだろう、と。

けれど、決まった曜日に来て、決まった席に座り、好きな加減で料理を食べる。それがその人なりの過ごし方だったのでしょう。

その人はその日も普通に食事を終え、「ごちそうさま」と言って帰っていきました。

それからは、その人が来たときに窓ぎわの席が空いていれば、なるべくそこへ案内するようになりました。細かな注文を聞くことにも、以前ほど身構えなくなりました。

相変わらず注文は少しずつ違いました。それでも私には、毎週同じ店へ足を運んでくれることのほうが、少し印象に残るようになったのです。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた20代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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