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「高い物は持っていないから」10年前の決断が仇に…隣家1階で火事→46歳男性が払った“30万円の代償”

  • 2026.9.30
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。大手不動産会社に入社以降10年以上の現場経験があり、宅地建物取引士の資格を持つライターのT.Sです。住宅を買うときは、住宅ローンの手続きとあわせて火災保険を契約します。ですが、手元に届いた保険証券を改めて開く機会は、その後あまりないのではないでしょうか。

今回は、隣家から出た火で自宅が傷んだものの、火元に修理費を請求できず、自分の保険でも家財は直せなかった事例を紹介します。

隣家の台所から上がった火の手と放水で濡れた和室の畳

Eさん(46歳・会社員)は妻と中学生の息子の3人で、10年前に買った建売の戸建てに住んでいます。隣家とは、境界のフェンスを挟んで2mほどの距離です。

購入のとき、住宅ローンの条件で建物の火災保険に入りました。代理店の担当者から家財の保険も勧められたものの「高い物は持っていないから」と断り、建物だけの契約にします。

今年の2月の夜10時ごろ、隣家の1階の台所で、調理中に火が上がりました。消防車が来て30分ほどで消し止められ、けが人はいませんでした。隣家は台所と外壁の一部が焼け、延焼を防ぐため、Eさん宅の外壁にも放水されました。

翌朝に外へ出ると、隣家側の外壁のサイディング(外装用の板材)が熱で反り、窓ガラス2枚にひびが入っていました。窓の隙間から入った水で和室の畳が濡れ、押し入れの布団と衣類、窓際のカーテンには煙のにおいが染みついていたのです。

工務店の担当者に見てもらうと、外壁と窓、和室の畳の補修に70万円かかると分かりました。布団と衣類、カーテンの買い替え費用は30万円ほどになります。

隣家へ請求できない修理費と家財が補償されない火災保険

出火の翌日、隣家の居住者がEさん宅へ謝りに来ました。恐縮した様子で何度も頭を下げますが、修理費については保険会社に相談していると伝えるにとどまります。

今後の対応を確かめるため、Eさんは自宅の火災保険を契約した代理店に電話をかけました。隣の火事で傷んだ分を相手に請求できるのかを尋ねます。

電話口の担当者は「失火責任法という法律があり、火元に重大な過失がなければ、隣に賠償を求めることはできません」と説明しました。

相手に請求できない以上、自宅の被害は自分の火災保険で直すことになります。ところが、Eさんの契約は建物だけで、家財は入っていませんでした。外壁と窓、畳の70万円は火災保険から支払われたものの、布団や衣類、カーテンの30万円は自費になりました。10年前に家財の補償を断ったことを、Eさんはいま悔やんでいます。

もらい火の損害に備えて火災保険の対象を確かめる方法

もらい火による損害は自身の火災保険で直す必要があるため、補償対象外の物は自分で買い直すことになります。家具や衣類まで補償されるかは、手元にある保険証券の「保険の対象」の欄で確認できます。

この欄に「建物」としか書かれていなければ、家財の被害については補償されません。建物だけの契約になっているなら、代理店に家財を加えた場合の保険料の見積もりを頼んでみましょう。

家財の保険金額は、いま自宅にある家具や家電、衣類をすべて買い直すといくらかかるかを目安に決めます。

参考:
3-12.損害保険の種類 火災保険 -火災保険加入の際の注意点(6)-(総務省消防庁 防災危機管理eカレッジ)
問52 隣家から「もらい火」で自宅が燃えた場合に、隣家に損害賠償請求ができないのでしょうか。(日本損害保険協会)



ライター:T.S(宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランニング技能士)
大学卒業後、大手不動産会社に入社。10年以上にわたり、都心のタワーマンションから郊外の築古戸建てまで、数多くの現場経験を積む。現在は不動産ライターとして「業界の不都合な真実」や、消費者が陥りやすいマネーの罠について、実体験に基づく記事を執筆している。


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