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秋の転勤、6年住んだ部屋を3週間で退去…立会いで18万円請求も→最終的に“12万円”もダウンした話

  • 2026.9.11
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

「退去の立会いで、壁紙も畳も全部張り替えますねと言われたんです。急いでいたし、そういうものかと」

そう話すのは、秋の転勤で、6年住んだ賃貸マンション(2LDK・専有面積約58㎡、家賃約9万円)を3週間で退去したJさん(30代夫婦・子ども1人の3人暮らし)です。

立会いで示された見積りは、壁紙の全面張り替えと畳の表替え、清掃費で約18万円。敷金9万円を引いても、9万円を追加で払う計算でした。入居時の契約で、退去時の清掃費は借主負担という特約の説明は受けていました。ただ、それ以外まで払うことになるとは考えてもいませんでした。

「借りたときの状態に戻す」ではない

退去で借主が負う原状回復は、わざとやうっかり、通常を超えた使い方で傷めた部分を直すことです。家具の重みでできた床のへこみや壁紙の日焼けなど、普通に暮らしてできる傷みや経年変化の復旧は、家賃に含まれるものとして貸主の負担です。

この線引きは国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」に示されており、2020年の民法改正で条文にもなりました。借りたときの状態にすべて戻すことではありません。

見積りの中の「払わなくていいもの」

Jさんの部屋の壁紙も畳も、大半が日焼けと家具の跡で、通常の暮らしの範囲でした。ガイドラインには経過年数の考え方もあり、壁紙は6年でほぼ価値が残らない扱い。6年住んだ部屋なら、負担が生じてもその割合は小さくなります。しかも負担は、傷めた部分に限った最低限の範囲が基本です。

全面張り替えの費用をそのまま負担するという見積もりとは差がありました。一方で、子どもが描いた壁一面の落書きだけは、心当たりがありました。

写真と契約書を持って、もう一度

Jさんは金額の大きさに引っかかり、その場でサインせずに持ち帰りました。翌日、入居時の写真と契約書、ガイドラインの負担の考え方を示して、管理会社に確認を頼みました。

管理会社は特約に沿って見積りを出していましたが、大家さんに確認のうえ、経年や通常の傷みは貸主負担という考え方で見直しに応じ、精算は清掃費と、負担割合が減った壁一面の落書き分の約6万円に。敷金との差額3万円は返金され、話は穏やかにまとまりました。

急ぎの引っ越しほど、立会いの前に

原状回復には国のガイドラインがあり、負担の線引きは以前より明確になっています。精算で迷ったときの物差しがあるのは心強いでしょう。一方で、急ぐ引っ越しほどその場の説明のままサインしがちだからこそ、確かめる一呼吸が欠かせません。

・普通に暮らしてできた傷みや日焼け、経年変化の復旧は貸主負担が原則
・壁紙などには経過年数の考え方があり、長く住むほど借主負担は減る
・負担するのは特約で定められた費用と、自分で傷めた部分(ただし壁紙などは経過年数により負担割合が考慮される)。入居時の写真と契約書で確かめる
・納得できない精算はその場でサインせず、ガイドラインを基に話し合う

荷物と一緒に、入居時の写真と契約書も手元に置いて立会いに臨んでみてください。

参考:
原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(国土交通省)
賃貸住宅の原状回復トラブル(国民生活センター)


ライター:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者)
行政で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。


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