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「車と塀に傷が…隣が直してくれるはず」30代夫婦が台風翌朝に後悔…「隣のせい」にはならなかったワケ【一級建築士は見た】

  • 2026.9.9
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

「隣のカーポートの屋根が、うちの庭に散らばっていて。車と塀に傷が。隣が直してくれるはずと思っていました」

そう話すのは、3年前、郊外の住宅地に地元の工務店で注文住宅(4LDK・延床約119㎡/土地約157㎡、約6,100万円)を建てたEさん(30代夫婦・子ども1人の3人暮らし)です。

台風が抜けた朝、庭に散らばっていたのは隣家のカーポートの屋根の破片。車のボンネットに傷がつき、ブロック塀の上部が欠けていました。隣家に話しに行く前に念のため保険の担当者へ電話すると、意外な答えが返ってきました。

隣の物でも、「隣のせい」にはならないのが原則

カーポートや建物のような工作物が他人に損害を与えたとき、所有者が責任を負うのは、設置や管理に落ち度があった場合です。予想を超える強風で壊れて飛んだなら不可抗力で、相手に責任はなく、修理代を請求できないのが原則です。

老朽化や緩んだ部材を放置していたなど落ち度があれば話は別ですが、隣家のカーポートは築浅で、傷んだ様子もありませんでした。同じ嵐でも、事前に片づけられるはずだった置き物が飛んだ場合とは、法律の見方が逆になるのです。

自分の損害は、自分の保険で直す

そのため、自然災害の損害は自分の保険で備えるのが基本です。火災保険の「風災」は台風や強風による損害を補償し、門や塀、カーポートなど敷地内の付属物も対象に含む契約が多くあります。ただし、免責金額(自己負担額)の設定があれば、少額の損害は自己負担で終わることもあります。

車は自動車保険の車両保険で、飛来物による傷は補償範囲を限定したタイプでも対象になるのが一般的です。ただ、使えば翌年は1等級下がり、次年度の保険料が上がります。連絡や相談だけなら等級は下がらないので、直す前にまず保険会社へ。被害の写真は、片づける前に撮るのが請求の基本です。

Eさん夫婦はどう対応したのか

破片を片づける前に、庭と車と塀を写真に残しました。隣家へは「お互い大変でしたね」と声をかけるだけにしました。

隣家も、自分の火災保険でカーポートを直したそうです。塀は火災保険の風災で補修し、免責金額を超えた分が支払われました。車の傷は見積もりが数万円で、車両保険を使うと翌年からの保険料の増分が修理代に近づくため、自費で直すことにしました。

台風のあとは、「どの保険で」

台風のあとに被害を見つけたら、隣家を責める前に自分の保険を見直しましょう。そのほうが、関係も家計も守れます。以下を確かめてみてください。

・隣の物が飛んできても、管理の落ち度がなければ相手に請求できないのが原則:まず自分の保険を確認
・火災保険は風災補償の有無と免責金額を今のうちに:塀・門・カーポートが対象かも確かめる
・車の傷は車両保険で直せるが、翌年の等級に影響:連絡だけなら下がらないので、まず相談を
・被害の写真は日付つきで、片づける前に

「誰が悪いか」ではなく「どの保険で直すか」。その順番で動けば、隣との関係を損ねずに片づきます。


ライター:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者)
行政で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。


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