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「屋根、保険で無料で直せますよ」台風直後の訪問業者に要注意…“自己負担ゼロ”の裏にあるカラクリ【一級建築士は見た】

  • 2026.9.10
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

「屋根、保険で無料で直せますよって業者さんが来たんです。台風のあとだったので、渡りに船かと」

そう話すのは、5年前に郊外の住宅地に中古の一戸建て(築22年・4LDK・延床約108㎡/土地約160㎡、約3,400万円)を買ったHさん(30代夫婦・子ども1人の3人暮らし)です。

台風が過ぎた朝、寝室の天井の隅に薄いしみを見つけた矢先でした。購入時、仲介の担当者から「屋根や外壁は築年相応で、数年のうちに手入れの時期が来る」と説明は受けていましたが、「無料」の一言に、先送りしていた手入れごと片づく気がしたといいます。

台風による傷みと、火災保険の「風災」

多くの火災保険には「風災」の補償が付いていて、台風で屋根の板金が浮いた、瓦がずれたといった損害は対象になり得ます。雨漏りで傷んだ室内まで補償される契約もあります。

一方で、年数の経過で防水が傷んだといった経年劣化は対象外です。そして保険金の請求は、契約者が保険会社へ連絡すれば無料でできる手続きで、業者に頼まなければできない仕組みではありません。

「自己負担ゼロ」の書面にあった一文

「保険金で無料修理」をうたう勧誘をめぐり、消費生活センターに相談が相次いでいます。典型的なトラブルは、保険金から高い手数料を差し引く契約や、解約時の高額な違約金です。経年劣化を台風のせいとして申請するよう促す例もあり、うその理由での請求は契約者自身の責任が問われかねません。

Hさんに提示された書面にも「保険金の40%を手数料として申し受ける」という一文が。

すべての業者がそうではありませんが、「無料」の中身は契約書で確かめる必要がありました。

まず、自分の保険会社に電話した

Hさんはその場では契約せず、翌日、自分の保険会社へ連絡。案内に沿って地元の屋根工事店に点検を頼むと、原因は棟板金(屋根のてっぺんを覆う金属)が強風で浮いていたことでした。

しみと屋根の写真、板金の補修と天井の壁紙の張り替えで約18万円の見積書を送ると風災と認められました。費用は保険金でまかなうことができ、手数料もかかりませんでした。訪問してきた業者には断りを入れ、先送りしていた手入れは点検を頼んだ工事店と相談して決めることにしました。

「無料で直せます」と言われたら

災害に火災保険が使えるのは、住まいの心強い備えです。風災の補償に助けられる家庭も多いでしょう。一方で、こうした勧誘は災害のあとに増えるからこそ、頼る順番の確認が欠かせません。

・「保険金で無料修理」「自己負担ゼロ」の勧誘は、その場で契約しない
・保険の対象は風災などの損害で、経年劣化は対象外。うその理由での請求は契約者の責任になる
・保険金の請求は自分で無料でできる。まず加入先の保険会社へ連絡する
・契約して困ったら、消費者ホットライン(188)に相談する

修理の入り口は「無料」の言葉ではなく、自分の保険から。その順番で進めてみてください。

参考:保険金で住宅修理ができると勧誘する事業者に注意!(国民生活センター)


ライター:yukiasobi(一級建築士・建築基準適合判定資格者)
行政で住宅政策・都市計画・建築確認審査など10年以上の実務経験を持つ。現在は住宅・不動産分野に特化したライターとして活動し、空間設計や住宅性能、都市開発に関する知見をもとに、高い専門性と信頼性を兼ね備えた記事を多数執筆している。


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