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かつてミリオンを連発し、紅白にも出たユニットの“元メンバー”。マレーシアでアイドルをプロデュースする現在

  • 2026.10.7
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2006年7月、テレビ朝日系アニメ「ドラえもん」でドラミの声を担当することになり会見した千秋(C)SANKEI

20年前の2006年9月、テレビ朝日系のアニメ『ドラえもん誕生日スペシャル』で、ひとつの新しい声がお茶の間に響いた。ドラえもんの妹・ドラミである。

声を担当したのは、タレントの千秋。前年春に主要声優陣が一新されて以降、不在だったドラミが満を持しての初登場を果たした瞬間だった。

この大役が発表されるまでのあいだ、千秋の家庭内ではちょっとした事件が起きていた。局からは固く口止めされていたため、当時の夫にすら話せない。だが、千秋は当時3歳だった長女の前で、声に出して練習していた。

3歳ならよそで話すこともないだろうとタカをくくって、娘の前で何回か練習した。その結果、あろうことか娘の口癖が「わたし、ドラミよ」になってしまった。テレビの電波に乗るよりも早く、その声は千秋の家で、幼い娘の前で響いていたのだ。

テレビは『ドラえもん』しか見せてもらえなかった少女時代

千秋のドラえもんへの愛は筋金入りだ。親の方針が厳しく、子どもの頃に見てよいテレビ番組は限られていた。その家庭で、視聴を許されていたのが『ドラえもん』だった。理想の男性はドラえもんか元阪神の掛布だと公言してはばからないほど、その存在は彼女の原点として深く根づいていた。

タレント業のかたわら、フジテレビの『ノンタンといっしょ』のノンタンや、劇場アニメ『エルマーの冒険』のロージーなど、声の仕事も手がけていた千秋。それだけに、2005年春の『ドラえもん』の声優陣総入れ替えで、彼女が名乗りを上げないはずがなかった。

驚くべきは、主要キャラクターすべてのオーディションを受けたことだ。ひとつに絞るどころか、全部に手を挙げる。結果は全滅。それでも彼女の片思いは終わらなかった。翌2006年、ドラミ役の座を射止めることになる。

母でデザイナーでそしてドラミ

1990年代後半、ウッチャンナンチャンの番組から誕生した「ポケットビスケッツ」でミリオンセラーを連発し、紅白歌合戦の舞台にも立った千秋。

2002年の結婚、翌年の長女出産を経て、2000年代半ばの彼女は多忙を極めていた。『はなまるマーケット』をはじめとする情報番組に出演する傍ら、子供服ブランド「リボンキャスケット」のデザイナーとしても奮闘。仕事と子育てに奔走する日々のなかで掴んだのが、ドラミという役だった。

オーディンションに落ちた翌年、ドラえもんの妹としてファミリーに加わる。お披露目会見で、千秋は「最高の形でドラえもんに携われて幸せ。夢はかなうものですね」と大喜びした。この会見で打ち明けた、3歳の娘の口癖が「わたし、ドラミよ」になってしまったという微笑ましい悩みも、そんな目まぐるしくも温かい日常のなかで生まれたものだった。

20年経っても変わらない妹の存在感

2006年の初登場以来、千秋はテレビでドラミを演じ続け、映画シリーズでも『のび太の新魔界大冒険』(2007年)から『のび太の南極カチコチ大冒険』(2017年)まで9作にわたってスクリーンを彩った。

今年2026年9月6日に放送された誕生日スペシャル「コンコン大混乱!容疑者はドラえもん!?」でも、22世紀のセワシの家で、ドラえもんが指名手配されたニュースに驚くドラミの姿があった。あの初登場から20年。時代は大きく移り変わったが、ドラミの声は今も千秋のままだ。

クアラルンプールで見せる夢の応援者としての顔

そんな千秋は今年2026年7月、新たな挑戦を発表した。マレーシア・クアラルンプールを拠点とするアイドルグループ「KLP48」のプロデュース就任だ。

海外旅行へ行くたびに現地で友達ができ、国籍や宗教が違っても好きなものが同じなら仲良くなれると感じていた千秋。そこへ届いたのがKLP48の話だった。運営側からは、ポケビの『YELLOW YELLOW HAPPY』のメッセージが多国籍な彼女たちにぴったりだと感じていたと聞いた。あの頃の自分のように、夢に向かって頑張る女の子たちを応援したいと思い、引き受けることを決めた。

発表のInstagramには、できたばかりのKLP48劇場とマレーシアの風景の写真が添えられていた。

子どもの頃から憧れ続けた作品に、主要キャラクターすべてのオーディションを受けるほどの無鉄砲な情熱で飛び込み、「夢はかなう」と証明してみせた人。20年前に3歳の娘の前でドラミの声を練習していた母は、いま、海を越えて夢を追う少女たちの背中を押している。


※記事は執筆時点の情報です

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