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“30年前”の名曲が【アマプラ大人気番組】テーマソングに…“60万枚超え”『大人気ユニット』の“色褪せない名曲”

  • 2026.11.8
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2015年12月、20周年アルバム『re:evergreen』の発売記念ライブを行ったMY LITTLE LOVERのakko(C)SANKEI

何かをひとつ終えたあとの朝は、思いのほか静かだ。見送った人がいて、手放した約束があって、次の一歩を踏み出す足はまだ少し重い。そんな日には、背中を強く押してくれる歌より、ただ隣で同じ景色を見てくれる歌のほうがいい。

MY LITTLE LOVER『NOW AND THEN~失われた時を求めて~』(作詞・作曲:小林武史)ーー1996年10月28日発売

この曲は、もう戻らない別れを振り返ったまま、夜明けの街へと歩き出す秋のシングルだ。歌詞のなかに、「がんばれ」と肩をたたくような言葉はひとつもない。それなのに、聴き終えるころには、足が半歩だけ前に出ている。

発売から30年がたった今年の秋、その歌がもう一度、新しい場面で鳴っている。

かつての若い聴き手がいま再出発の側に立つ

2026年10月28日、この曲は発売30周年を迎えた。その同じ10月、Prime Videoで22日から配信が始まった番組『ラブ トランジット 35+』のテーマソングに起用され、akkoがコメントを寄せた。

番組の参加者は35歳以上。1996年に10代や20代でこの曲を聴いた人たちはいま、40代、50代になっている。若い日に受け取った別れと再出発の歌が、今度は大人になってからもう一度始めようとする人たちのそばで鳴る。30年という時間が、歌の外側でゆるやかに一周してきたかのようだ。

懐かしさを演出するための1曲ではなく、いま始まる何かの伴奏として鳴っている。そこに、この歌の性格がよく表れている。歌詞のどこを探しても、1996年という時代をしるす言葉や道具が見当たらないのだ。

題名の言葉が一度も出てこない夜明けの語り

表題の「NOW AND THEN」も、副題の「失われた時を求めて」も、歌詞のなかには一度も出てこない。副題は、プルーストの長編小説の邦題と同じ言葉でもある。

歌のなかで語り手を務めるのは「僕」だ。夢から覚めた朝、戻らない別れを静かに振り返り、悲しみも時の流れのなかで薄れていくと受け止める。そして涙と笑いが混ざり合ったまま、まだ人通りのない朝の街で走り出す構えをとる。胸に描くのは「スタートライン」だ。

地球儀をまわして、いくつもの街角での出会いを思い描く場面もある。だがその直後には、二人が別れを選んだあの日の記憶がふとよみがえる。歌に並ぶのは大きな言葉ではなく、地球儀をまわす手つきや、走り出す前の構えといった小さな身ぶりだ。

題名だけを見れば、過ぎ去った歳月を大きく振り返る歌を想像するかもしれない。ところが実際に聴こえてくるのは、ひとりの朝の、ごく小さな場面の連なりだ。大きな題と小さな場面のあいだに、聴く人が自分の別れをそっと置ける場所が空いているのだと思う。

夢のように浮かぶ弦の上で声は歩幅を守る

その小さな場面を運ぶのが、ストリングスを前面に出した、しっとりと広がる音だ。

イントロは、まだ夢の続きにいるかのように、ふわりと宙に浮かんで始まる。目が覚めきらない朝の、輪郭のやわらかい光によく似ている。弦が重なるにつれて景色は大きく開けていくのに、手ざわりはしっとりとした落ち着きを保ったままだ。

その上で響くakkoの歌は、抑揚を大きくつけず、淡々と言葉を置いていく。サビに入ったからといって急に熱を上げることもなく、曲は最初から最後まで同じ空気のなかを進んでいく。

大げさな山場を用意しない分、聴き手は最後まで同じ朝の温度のなかにいられる。何度聴いても耳が疲れないのは、その歩幅の変わらなさのおかげだ。

「僕」という一人称をakkoの声が静かに運ぶので、この歌は、誰かの劇的な打ち明け話というより、聴く人それぞれの朝の話として耳に残る。

月曜の夜を毎週ひらいた別れの歌

1996年の秋、この曲はまず、日本テレビ系ドラマ『ナチュラル 愛のゆくえ』のオープニングテーマとして流れた。ドラマが始まって2週間後にシングルが発売され、売上は60万枚を超えた。

その1枚1枚の先に、それぞれの別れと、それぞれの朝があった。この歌が30年後の再出発の場面へ帰ってきたのは、数えきれない朝を、すでに一度ずつ見送ってきた歌だからなのだと思う。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。

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