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30年前、『るろうに剣心』OPで大ブレイク→『大人気バンド』が放った【切ない名曲】“60万枚超え”の“別格の一曲”

  • 2026.11.8
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1995年12月、第37回日本レコード大賞『Over Drive』で企画賞を受賞したJUDY AND MARY(C)SANKEI

アニメのオープニングから流れる明るい歌とともに、ひとつのバンドが一気に時代の坂道を駆け上がっていった年がある。

JUDY AND MARYにとっての1996年だ。そのすさまじい勢いのまま、秋に世へと送り出された10枚目のシングルが『クラシック』だった。

JUDY AND MARY『クラシック』(作詞:Tack & Yukky/作曲:TAKUYA)ーー1996年10月28日発売

バンドにとってこの曲は、まさに最も勢いに乗っていた季節のど真ん中にリリースされた1曲だ。明るく弾けるイメージが世間に浸透していたさなかに届いたのは、ほのかな切なさをまとった歌だった。あの年の怒濤の流れの中にあらためて置き直してみると、この曲ならではの持ち味がぐっと鮮明に見えてくる。

アニメの入り口から大きな舞台まで走り抜ける

前年の『Over Drive』によって、JUDY AND MARYの名はすでに広く知られはじめていた。そこへ決定打として1996年2月に届いたのが、『そばかす』だった。

アニメ『るろうに剣心』のオープニングを飾った同曲は大ヒットを記録。アニメという親しみやすい入り口も得て、YUKIの声はより多くの人の耳に届くようになった。翌3月には、バンド初となる日本武道館のステージへ。上り坂の勢いが誰の目にも明らかな形となった春だった。

当時のJUDY AND MARYに定着していたのは、明るく賑やかで、跳ねるようなポップさのイメージだ。その中心に立っていたのが、くるくると表情を変えるYUKIの歌声だった。

大ヒットのあとに放つ1枚は、バンドの次の一歩を左右する重要な試金石にもなる。同じ明るさをもう一度重ねるのか、それとも別の色を見せるのか。『そばかす』から8か月後の秋に出された答えが、『クラシック』だった。

弾けるイメージの裏から差した少しの切なさ

『クラシック』は、勢いで押し切るというより、切なさをじんわりとにじませながら進んでいく曲に仕上がっている。明るく派手な印象が強かったバンドの中で、この曲はふと視線を落としたような、少しうつむき加減の横顔を見せている。

上り調子のさなかに出したシングルが、はしゃぐ方向ではなく切ない方向を向いている。その鮮やかなギャップこそが、いまあらためて聴き直してみてもっとも面白いところだ。

曲調は90年代J-POPらしいメロディアスなもので、一度聴くと耳に残る強い旋律を持っている。思わず口ずさみたくなる親しみやすさと、どこか懐かしさを誘う響きが心地よく同居している。

そこに重なるのがYUKIの声だ。『そばかす』で聴かせた明るさは決して消えていない。その明るい声のまま切ない旋律を歌うからこそ、悲しさが重く沈みきらず、軽やかさを残したまま胸に届く。切なさを湿っぽく塗り込めず、前を向いたまま鳴らすところに、このバンドらしさがにじむ。

発売は10月の終わり。賑やかな季節が過ぎ、日が短くなっていく秋のころだ。大ヒットの次のシングルという位置にあると、どうしても前の曲に目が行きがちになる。けれど、この季節に届いた少し切ない1曲は、勢いに乗ったバンドが明るさだけの存在ではないことを、静かに教えてくれる。

上り坂のさなかに鳴った歌が残る

『クラシック』は、累計で60万枚を超える確かなヒットを記録した。

同じ年の暮れ、JUDY AND MARYは初出場を果たした紅白歌合戦で『そばかす』を歌っている。年の初めのヒットを追い風に大舞台へ進みながら、秋のシングルでもしっかりと数字を残した。1年を通してその勢いが途切れなかったことが、このリリースの並びからもよくわかる。

年が明けた1997年3月、この曲はアルバム『THE POWER SOURCE』に収められた。勢いの年の秋に出たシングルが、次のアルバムへそのまま受け継がれていったのだ。

派手なヒットは、その年の賑わいごと記憶に刻まれる。いっぽうで少し切ない曲は、聴く人のその時々の気分と結びつき直しながら、何度でも手元に戻ってくる。

もし今あらためて聴き直すなら、ぜひ『そばかす』から続けて再生してみてほしい。同じ1996年に、同じYUKIの声で、ここまで温度の違う2曲が生まれている。上り坂をいちばん明るく駆けていたバンドが、その途中で切なさの側にも確かに手を伸ばしていた。2曲を並べたときに見えてくるその振れ幅こそ、あの年のJUDY AND MARYが放っていた真の勢いだった。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。

(文・笄坂かける)

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