1. トップ
  2. エピソード
  3. 「22歳なんて正直心配」「子供たちをまとめられるの?」保護者に責められる新任教師。→後日、保護者からの電話の一言に「救われた」

「22歳なんて正直心配」「子供たちをまとめられるの?」保護者に責められる新任教師。→後日、保護者からの電話の一言に「救われた」

  • 2026.9.13
undefined
出典:photoAC ※画像はイメージです。

こんにちは。元小学校教諭のみずいろ文具です。

10数年前、新1年生の担任を任されました。

働き始めて2週間ほどのころ、初めての授業参観を迎えました。

慣れない仕事に追われる毎日でしたが、前日は夜遅くまで授業の流れを何度も確認し、自分なりに精いっぱい準備をして当日を迎えました。

しかし、現実はそう簡単ではありませんでした。

初めての授業参観は散々な結果

授業が始まっても、子どもたちはなかなか落ち着きません。

そこかしこでざわざわ。後ろを向いている子もいます。

私自身も緊張していたのでしょう。

表情はこわばり、喉はカラカラ。

予定していた通りには進まず、とにかく授業を最後まで終えることで精いっぱいでした。

「もっとこうすればよかった」
「あそこは違う声かけができたのに」

授業が終わった時点で、すでに反省ばかりが頭に浮かんでいました。

しかし、そのあとには保護者との懇談会が待っていました。

そして、そこでさらに心が折れる出来事が起きてしまったのです。

「ついこの間まで学生だった女の子が…」

懇談が始まると、何人かの保護者から厳しい言葉が出ました。

「先生、22歳でしょ?ついこの間まで学生だった女の子が担任なんて、正直心配です

「やんちゃな子も多そうですけど、本当に子どもたちをまとめられるんですか?

今振り返れば、保護者の方が不安になるのは当然です。

大切な子どもを一年間預ける担任が、大学を卒業したばかりの若い女性教師。

さらに、最初の授業参観もうまくいったとは言えませんでした。

保護者からの厳しい言葉は、当時の私にはかなりこたえました。

「ご心配をおかけして、申し訳ありません。これからしっかり学んでいきます」
「子どもたちとは真剣に向き合っていきます」

そう答えるのが精いっぱい。

涙が出そうになるのをこらえながら、なんとか懇談を続けていました。

すると、その途中、ガタっと椅子を引く音が響きました。

それは、Mさんのお母さんでした。

そして、

「すみません、私、帰ります」

と一言。

そのまま教室を出ていったのです。

「ああ、この人にも呆れられた。がっかりされたんだ…」

正直、絶望的な気持ちになったのを覚えています。

Мさんの保護者から電話が

懇談を終え、重たい気持ちのまま職員室へ戻りました。

すると、私宛ての電話がかかってきました。

相手は、先ほど途中で席を立ったMさんのお母さんでした。

「先生、今日は参観ありがとうございました。懇談のことですけど……

その言葉を聞いた瞬間、私は身構え、さらに暗い気持ちになりました。

――絶対、また何か言われる。

ところが、続いた言葉は想像していたものとはまったく違いました。

私、ああいうの大っ嫌いなの。よってたかっていじめみたい」

「…え?」

「みずいろ先生、私はあんなふうに思っていませんからね」

と言ってくれたのです。あまりにも予想外の言葉に私は、

「そんな…だって…私が未熟で…」

としどろもどろになってしまいました。

さらにMさんのお母さんは、

「うちの子ね、毎日先生のこと話すんです。楽しい、大好きって。だから、私は先生のこと応援してますからね」

と続けました。

「あ、ありがとうございます…頑張ります」

その瞬間、それまで必死にこらえていた涙があふれました。

応援してくれている人もいるんだ

その言葉に、どれほど救われたかわかりません。

保護者となった今も

初任者だった私には、足りないところがたくさんありました。

子どもへの声かけや寄り添い方、授業の組み立て方や話し方など、振り返れば未熟だった部分はいくつもあります。

正直、今振り返っても、あの1年を「やり直したい」と思うほどです。

それでもMさんのお母さんは、その後も温かく私を見守り、最後まで応援してくれました。

あれから年月が経ち、今の私は子どもを学校へ送り出す「保護者」の立場になりました。
我が子を大切に思い、学校生活を心配する保護者の気持ちも、今では身をもってわかります。

でも…担任の先生だって、一人の人間です。
経験豊富な先生もいれば、初めて担任を持つ先生もいます。

だから私は、かつてのMさんのお母さんのように、必要なときには「応援しています」と伝えられる保護者でありたいと思っています。

あの日かけてもらった温かい言葉は、今も私の胸に残り続けています。



ライター:みずいろ文具

関東の公立小学校で15年間、子どもたちと向き合ってきました。教室での日々を通して感じた喜びや戸惑い、子どもたちから教わったことを、今は言葉にしています。教育現場のリアルや、子どもたちの小さな成長の瞬間を、やさしい視点でお届けします。


【エピソード募集】日常のちょっとした体験、TRILLでシェアしませんか?【2分で完了・匿名】

の記事をもっとみる

注目コンテンツ