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現役の看護師が描く、大切な存在が亡くなったあとの物語。登場人物の様子をさまざまな視点から描く深い理由【著者インタビュー】

  • 2026.8.24

【漫画】本編を読む

たとえ少しの時間であっても、一緒に暮らしたペットはかけがえのない家族だ。天国へ旅立ち、肉体が自分のそばからいなくなったとしても、家族である飼い主はその子の幸せを願い続ける。

現役看護師でもある著者・中山有香里さんが描いた『天国での暮らしはどうですか』(中山有香里/KADOKAWA)は、そうした飼い主たちの心を優しく包み込んでくれる。

本作に描かれているのは、愛するペットや人間が天国へ旅立った“その後”の物語。自分が亡くなったあとの飼い主を心配する老犬や、3ヶ月しか一緒にいられなかった飼い主を想い続ける猫の姿など、登場する動物たちと飼い主の深い絆に涙が止まらなくなる。

作者である中山さんは、これまでどのような別れを経験し、どんな想いから本作を描いたのだろうか。作品制作の裏側を伺った。

――中山さんは、現役の看護師でもありますよね。これまで患者さんの看取りに立ち会われる機会もあったかと思いますが、そうした医療現場でのご経験は本作を描く中で、どのように活きたのでしょうか。

中山有香里さん(以下、中山):看取り時の状況というのは、本当に様々です。最期に会いたい人に会えた人もいれば、食べたいものが食べられなかった人、家に帰れなかった人もいます。

患者さんと接するとき、私はいつも、「この患者さんはどんな気持ちだったんだろう」「家族や私はどんな気持ちだったのだろう」と、色んな目線に立って考えてきました。それが、お話作りの土台になったのかもしれません。だから、本作ではひとつの物語に必ずアナザーストーリーで他の視点が入るような構成にしています。

――漫画を描く際、視覚的な面で何か心がけていることはありますか。

中山:食べ物を描くときは、本物以上に暖かい色味になるよう意識をしています。本作は、「見た人がどこか安心できるように」との想いから、淡い色味を使って優しい印象になるように心がけています。

――中山さん自身も2匹の愛犬を亡くされた経験があるそうですが、そうした悲しみとは、どのように向き合ってこられたのでしょうか。

中山:愛犬を失った悲しみに向き合えた自覚は正直、ありません。ただ、あの子たちがいなくなった毎日を過ごしているという感覚です。愛犬の最期を思い出すと、苦しそうにしている姿を、どうしても思い出してしまいます。本作を描くことで、私はそういう自分を励ましているんだと思います。

――作品を描くことが、ご自身の心の傷を癒やすことに繋がっているんですね。

中山:私自身、自分の作品に助けてもらっているのかもしれません。本作を描き始めてから、亡くなった人を想像し、願い祈りながら過ごすことが増えました。「亡くなった動物や家族が帰ってきているかもしれない」と思えるから、最近ではお盆という習慣が好きになりました。

――本作はもちろん、『泣きたい夜の甘味処』など、中山さんの作品は心が苦しい読者を温かく包み込む部分が一貫していると思います。

中山:私自身が疲れているからかもしれません(笑)。漫画を通して吐き出すことで、自身の疲労や言えずに飲み込んできた感情を見つめ直しているように思います。

取材・文=古川諭香

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