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〈菓子屋ここのつ茶寮〉主宰・溝口実穂さんの1か月連載コラム。第3回は、約5年かけて見つけた理想の物件について。

  • 2026.8.25

『下町茶寮』を営みながら、物件探しに突入します。
私は何事も直感を信じて行動するのですが、その前に自分の中で想像を膨らませてから歩き出します。〈菓子屋ここのつ茶寮〉を始めた時も、大体のイメージができたうえで「やってみよう! 」という感じで始めました。イメージしすぎて、デジャヴなのかな、と思う現実が何度もあったりします(笑)。

旅行先でみた理想の生活。洗濯物がゆらゆらと、気持ちよさそうで。

ずっと探していた田畑付きの物件探しも、自分の中に「こういう場所!」って理想があって、もはやもうすでにそこに住んでいるくらいの感覚にまでなっているんですね。でもそのイメージを不動産の方に共有することがとても難しくて、むず痒い。私が希望している「拠点像」があまりにも壮大なので、「そんな所、そうそうなさそうですね」って、苦笑いされて終わったこともありました。

それでも諦めるという気持ちは当然なくて、きっと今しかこんな体験はできないはずだからやりきろう! と、なるべくポジティブに考え、とにかく田畑付きの物件を探していました。もはや、物件探しと内見が趣味になっていました。

辺り一面に麦畑が広がる空き物件。
高台にあった空き物件。

あるとき、友人が紹介してくれた不動産会社の方が方向性を理解して寄り添ってくださり、心強くて救われました。それでもやはりそうそう簡単には見つからず、4年が過ぎようとしていた頃。一軒ここだ! という場所に出合いました。

それまで何軒も内見はしましたが、ここまでピンときたことはなかったので、初めての嬉しい感覚でした。ですが、ここはタッチの差で違う方に買われてしまったみたいで、話は流れました。

しかし、振り出しに戻ったわけではなくて、銀行とのやり取りの仕方とか、お世話になっている税理士さんとの信頼とか、いろいろと学びが多かったので、自分がレベルアップした感じがして、悲しくないと言ったら嘘になるけど、ご縁がなかったんだ。きっとここよりもっといい場所に出会えるはずだ! と思うしかなくて。

そう簡単に見つからず、やや疲弊したので、自分を取り戻すために友人と川で休憩。
物件探し中に車窓から見えた景色。
物件探しの帰り道、なんとかなるよ! と、励ましてもらったときの静かな景色。

さらに1年が経過し、物件探しも5年目を迎えそうな時、ついについについに!!! 理想のひとつも妥協していない素晴らしい出会いがありました。

イメージ通り、いや、これはイメージ以上。田畑付きに加え、山林、竹林、築150年程度の古民家、そして立派な門まで付いた物件です。

内見に行く前から、あ、もうここだ! 絶対ここだ! と、勝手に運命を感じていました。もう慣れているはずの内見も、この日はドキドキしながら向かいました。ひと目見た瞬間、「間違いない、ここが私の居場所になる」と、イメージがぐんぐん湧きました。

いやあ、諦めなかったからこそのご縁。5年近く拠点が決まらないことで靄がかかっていた心がとても晴れやかになりました。あとはもう、ここで思いっきり、やりたい事をやろう。

里山と界隈の美しい景色。空気が本当に美味しい。
ついに!!! 運命の出会い。みつかったー!

〈菓子屋ここのつ茶寮〉主宰 溝口 実穂

出典 andpremium.jp

東京・浅草鳥越で、完全予約制〈菓子屋ここのつ茶寮(糧菓のコース) 〉を主宰して13年。2026年4月より、念願であった田畑、山林、竹林付きの築150年の古民家に住まいを移した。現在は、浅草鳥越での下町茶寮を続けながら、里山生活で畑を始め、自然の洗礼を受け、四季のうつろいを味わっている。

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