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「東京地方裁判所の執行官です」突然の来訪に妻が絶句…分譲賃貸12階で起きた"思わぬ事態"

  • 2026.10.5
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。大手不動産会社に入社以降10年以上の現場経験があり、宅地建物取引士の資格を持つライターのT.Sです。結婚や転勤で部屋を探すときは、間取りや駅からの距離、家賃をじっくり比べて選ぶのではないでしょうか。

候補の中に、分譲マンションを買った個人が自分の部屋を貸し出している「分譲賃貸」が入ることもあります。今回は、分譲賃貸で借りた部屋が競売にかけられ、住み続けることはできたものの、預けていた敷金50万円が戻らなかった事例を紹介します。

訪ねてきた裁判所の執行官から、部屋の競売を知らされる

Yさん(34歳・会社員)は一昨年の秋に結婚し、フリーランスで働く妻(32歳)と暮らす部屋を探しました。選んだのは分譲賃貸のマンションで、12階にあるその部屋は家賃が25万円、敷金は2か月分の50万円でした。

契約は、部屋を紹介した仲介の不動産会社を通して結んでいます。契約前の重要事項説明では、部屋に抵当権が付いていると説明を受けていました。抵当権は、オーナーがこの部屋を買ったときのローンの担保として設定されています。

もしオーナーがローンを返済できなくなると、金融機関は裁判所に申し立てて部屋を競売にかけ、売れた代金から貸したお金を回収する仕組みです。

去年の11月、在宅で仕事をしていた妻がインターホンに出ると見知らぬ人物がモニターに映っていました。

「東京地方裁判所の執行官です。こちらのお部屋の競売の手続きで、調査に伺いました」

妻は執行官から家賃や敷金の額、契約期間を聞かれ、賃貸借契約書も見せました。執行官の話では、部屋の貸主であるオーナーのローン返済が止まり、部屋が競売にかけられていたそうです。

落札した不動産会社と契約し直し、同じ部屋に住み続けることに

その夜、Yさんは契約を仲介した不動産会社の担当者に電話をかけ、この先どうなるのかを尋ねると、担当者はこのように答えました。

「お部屋の抵当権は賃貸契約を結ぶ前から付いています。そのため競売で売れると、いまの契約は落札した人に引き継がれません。ただ、落札した人が代金を納めてから6か月は住み続けられます」

さらに担当者から聞いたことによると、預けている敷金は落札した人には引き継がれないため、返してもらう相手はオーナーになるそうです。Yさんは担当者にオーナーへの連絡を依頼したものの、後日「何度電話をかけてもつながらない」という結果が伝えられました。

競売にかけられた部屋は、今年の5月に賃貸経営をしている不動産会社が落札し、担当者から「このまま住み続けるのでしたら、当社と新しく契約を結びませんか」と持ちかけられました。家賃は同じ25万円で、敷金としてあらためて2か月分を預け、契約を結び直しました。

敷金50万円は戻らず…

オーナーに預けていた敷金50万円については、7月に契約書にあるオーナーの住所へ内容証明郵便を送って返すよう求めました。しかし、郵便はあて先不明で戻ってきてしまいます。仲介の担当者にもオーナーの転居先は分からず、敷金は戻っていません。

抵当権が付いている部屋を借りるときは、契約前に「競売になったら明渡しや敷金はどうなるのか」を仲介会社に確認しておくと安心です。抵当権が付いたあとに借りた部屋が競売にかけられても、競売が始まる前から住んでいれば、落札した人が代金を納めてから6か月は住み続けられます。その間に、新しい契約を持ちかけられたら結び直すか、引っ越すかを決めましょう。

ただし、その6か月の間も家賃にあたる額は落札した人に払う決まりです。落札した人から振り込み先の連絡が届いたら、家賃の振り込み先を切り替えましょう。

参考:明渡猶予制度(BIT 不動産競売物件情報サイト・裁判所)



ライター:T.S(宅地建物取引士・2級ファイナンシャルプランニング技能士)
大学卒業後、大手不動産会社に入社。10年以上にわたり、都心のタワーマンションから郊外の築古戸建てまで、数多くの現場経験を積む。現在は不動産ライターとして「業界の不都合な真実」や、消費者が陥りやすいマネーの罠について、実体験に基づく記事を執筆している。


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