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不動産屋の「おすすめしません」を振り切って契約…“1階が飲食店”の部屋で快適に暮らしていた30代男性を襲った想定外の変化

  • 2026.10.4
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出典:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。現役の不動産会社社長として、日々さまざまな土地や建物のご相談に向き合っている岩井です。

賃貸物件を探していると、1階に飲食店やコンビニなどの店舗が入っている物件を見かけることがあります。下の階が住居ではないため、「足音を気にせず暮らせそう」「夜にはお店も閉まるから問題なさそう」と考える方もいるでしょう。

しかし、店舗では営業時間以外にも、開店前の仕込みや商品の搬入などが行われることがあります。普段は気にならなくても、生活時間が変わったことで、思わぬ悩みにつながるかもしれません。

今日は、「下が飲食店なら気楽に暮らせそう」と2階の部屋を選んだものの、数年後に生活時間が変わり、昼間の音に悩まされることになった30代男性のエピソードをご紹介します。

「店舗の上はおすすめしませんよ」それでも選んだ2階の部屋

会社員時代の元同僚でもある30代のAさんが、一人暮らしをするための賃貸マンションを探していたときのことです。いくつか内見したなかで気に入ったのが、あるマンションの2階にある部屋でした。

駅から比較的近く、間取りや家賃も希望に合っています。そしてAさんが特に魅力を感じたのが、真下の1階に住居ではなく飲食店が入っていることでした。

以前住んでいた賃貸では、帰宅が遅くなるたびに下の住人への足音や生活音を気にしていたそうです。

「夜に帰ってきても、下がお店なら気を遣わずに済みますよね」

すると、案内を担当していた不動産会社の担当者は、Aさんの考えに同意するだけではなく、気になる点についても率直に説明してくれました。

「確かに、下の住人への生活音を気にしなくていいのはメリットです。ただ、飲食店の上は営業中の音やにおいが気になることもあります。静かさを重視するのであれば、正直、あまりおすすめはしません」

物件のよい部分だけでなく、入居後に考えられるデメリットまで伝えてくれたため、Aさんも一度は迷ったそうです。

ただ、当時のAさんは朝に出勤し、夕方以降に帰宅する生活を送っていました。飲食店はランチから夜まで営業していましたが、Aさんが自宅で過ごす時間とはそれほど重なりません。

「それなら問題ありません!昼間は仕事でいないし、夜中まで営業する店でもないから大丈夫でしょう」

Aさんは「自分の生活なら問題ない」と判断し、この部屋を選びました。

「やっぱりこの部屋で正解だった」数年間は快適に暮らしていた

実際に暮らし始めると、Aさんの予想どおりでした。

平日の昼間は仕事に出ているため、飲食店の営業中に自宅で過ごすことはほとんどありません。帰宅するころにはランチタイムの混雑はとっくに終わっています。夜も閉店後は比較的静かでした。

それ以上にAさんが気に入っていたのは、以前ほど足音を気にしなくてよくなったことです。夜に帰宅して室内を歩いたり、休日に掃除をしたりするときも、以前のように「下の人に響いていないかな」と神経質になることが減りました。

「やっぱり下がお店でよかったな…」

そんな生活が数年間続き、契約時に担当者から言われた「店舗の上はおすすめしません」という言葉も、いつしか気にならなくなっていたそうです。

ところが、Aさん自身の生活が大きく変わります。勤務先で配置が変わり、夜勤を中心とする働き方になったのです。

夜勤明けに布団へ入ると…初めて知った「開店前の音」

夜勤になったAさんは、朝に仕事を終えて帰宅し、昼間に眠る生活へと変わりました。そこで初めて気づいたのが、これまで自分が仕事に出ている間に発生していた「店舗の音」です。

夜勤を終えて朝に帰宅し、カーテンを閉めて布団に入るAさん。しかし、しばらくすると、下の飲食店ではランチ営業に向けた準備が始まります。

食材や飲料を運び込む音、従業員が出入りする気配。さらに開店時間を迎えると、お客さんの出入りが増え、話し声なども聞こえてきました。これまでは仕事に出ていた時間帯だったため、Aさんがこうした音を意識することはほとんどありませんでした。

しかし、夜勤明けで眠ろうとすると、これまで気づかなかった音まで耳に入ってきます。

「搬入の音が気になるな…。昼間って、こんなに音がしていたのか…」

疲れているのになかなか眠れず、Aさんは戸惑ったそうです。眠れないまま時間だけが過ぎ、ようやくウトウトできたころには、次の出勤時間が近づいていることもありました。

昼間はまったく気にならなかったはずの部屋が、生活時間が変化したことで、Aさんにとってなかなか眠れない部屋へと変わってしまったのです。

下に住人がいないから気楽だったはずが

少しでも眠りやすくしようと、Aさんは耳栓を使うなど、自分でできる対策を試しました。しかし、すべての音が気にならないようにすることは難しく、思うように眠れない日が続いたそうです。

「部屋を借りたときは、まさか自分が昼間に寝る生活になるなんて考えていませんでした。むしろ『下が住人じゃないから気楽だ』と思って選んだんですけどね」

そうはいっても、すぐに引っ越せるわけではありません。

新しい部屋を借りると、敷金や礼金、仲介手数料、引っ越し代などの費用がかかります。さらに、今後また昼間の勤務に戻る可能性もあったため、Aさんは「今すぐ引っ越すべきなのか」と迷っていました。結局、引っ越しには踏み切れず、しばらくその部屋で暮らし続けることに。

そんなときに思い出したのが、契約前に不動産会社の担当者から言われた言葉でした。

「静かさを重視するなら、店舗の上はあまりおすすめしません」

下に住人がいないから気楽に暮らせると考えて選んだ部屋。しかし、数年後には生活時間が変わり、今度は自分が下の階から聞こえる音に悩むことになりました。

契約時にはメリットだと感じていた条件が、暮らし方の変化によって悩みの種になるとは、当時のAさんも想像していなかったのでしょう。

店舗の上に住むなら「営業時間」だけを見ない

1階に店舗がある物件を検討する際は、営業時間だけで判断しないことが大切です。

特に飲食店では、開店前から仕込みや食材の搬入が行われることがあります。従業員やお客さんの出入り、設備の稼働による音なども含め、可能であれば実際に自宅で過ごす時間帯に現地を確認しておきましょう。

また、転職や配置転換、在宅勤務などによって、将来の生活時間が変わる可能性もあります。「今の生活なら問題ない」だけでなく、昼間に自宅で過ごすようになった場合も想定しておくと安心です。

入居後に音が気になる場合は、耳栓を使ったり、厚手のカーテンやラグを取り入れたりする方法もあります。ただし、建物を伝わる音や振動は、自分でできる対策だけでは十分に軽減できないこともあります。

店舗の上には、下の住人への生活音を気にしにくいというメリットがある一方、店舗ならではの音やにおいなどもあります。物件を選ぶ際は、現在の生活だけでなく、暮らし方が変わった場合まで考えて判断することが大切です。



筆者:合同会社ゆう不動産 代表 岩井佑樹

不動産売買の専門家として仲介・査定・買取に携わりながら、不動産Webライターとして1,000記事以上を執筆。「売る力×伝える力」を軸に、情報発信と販売の両面から不動産の価値を高めている。派手さよりも誠実さを大切にし、地域に寄り添う姿勢で「早く・高く・安心」の取引を支える不動産の専門家。


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