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都会に疲れた青年を救ったのは、おせっかいで優しい隣人たちだった。人と人のつながりに癒やされる田舎移住ストーリー『あい・ターン』【書評】

  • 2026.8.14

【漫画】本編を読む

『あい・ターン』(おーはしるい/ぶんか社)は、都会暮らしに疲れた青年がとある村へ移住し、田舎暮らしと個性豊かな住民たちとの交流を通して成長していく姿を描いたコミックである。リモートワークの普及で地方移住も注目されるようになった昨今だが、そんな田舎暮らしの酸いも甘いも織り交ぜながら展開する物語だ。

主人公の港 明は、東京での生活に疲れ、憧れていた田舎暮らしを実現するため群馬県のある村へ移り住む。しかし、そこにはスローライフだけではなく、隣人にツンデレな美女・蕗(ふき)、年齢を感じさせないパワフルなおばあちゃん・さと、自由奔放な中学生・つくしという個性豊かな三世代の女性たちが待っていた。明は戸惑いながらも3人に助けられ、ときには振り回されながら、新しい生活を築いていく。

田舎の暮らしを知らない人にとって田舎はユートピアのようなイメージをする人も多いだろう。しかし本作はそんな理想ばかりを描いていない。近所付き合いが濃いためにちょっとした出来事がすぐ村中に広まったり、生きるために車が必需品であったり。それでも、明が最終バスを逃せば蕗が車で迎えにきてくれ、車を持っていないことを知ればご近所さんが余っている車を譲ってくれるなど、困ったときには自然と誰かが手を差し伸べてくれる。都会ではほとんど失われてしまった隣人同士の助け合いの文化が、群馬ならではのご当地ネタや「田舎あるある」を交えながら温かく描かれているのだ。

そんな助けられてばかりの明の成長も見どころだ。最初は遠慮がちな彼が、村での暮らしを通して少しずつ自分の居場所を見つけていく姿は、移住に限らず、新しい環境に飛び込んだ経験のある人ならきっと共感できるだろう。隣人たちとの何気ないやり取りや、思わず笑ってしまう勘違いの数々が心地よいテンポで描かれていく。

田舎暮らしの魅力は、なんといっても人と人の温かなつながりだ。現実的に移住は難しいけど興味はあるという人は、本作で擬似移住を楽しみながら、癒やしをもらってみてはいかがだろうか。

文=練馬麟

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