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「客がいるのに、帰れというのか」閉店後も次々に大量注文して居座り続けた客。だが、店長が毅然と退けた

  • 2026.8.10

閉店三十分前の来店

学生の頃、私はファミリーレストランでアルバイトをしていました。あの夜のことは、今でもはっきり覚えています。

閉店まであと三十分という時間に、一人の男性が来店しました。

店内にほかのお客様は、もうほとんど残っていません。

私は席へ案内しながら、遠慮がちに声をかけました。

「あと三十分ほどで閉店ですが、大丈夫でしょうか」

男性は椅子に腰を下ろすと、こともなげに言い放ちました。

「大丈夫だ、急いで食うから」

ところが、その言葉とはうらはらでした。男性はメニューを広げるなり、次々と注文を重ねていったのです。

「ラーメンにカレー、それとデザートも全部持ってきて」

閉店前の片づけを始めていた厨房が、急な大量注文でてんてこ舞いになりました。

私は伝票を握りしめ、厨房と席とを何度も往復しました。

居座り続ける客

案の定、料理がすべて揃う頃には、閉店の時間はとうに過ぎていました。

それでも男性は、ゆっくりと箸を進めるばかりです。

閉店を十分ほど過ぎた頃、男性はまた店員を呼びました。

「次の注文なんだけど」

その声に、奥から店長が出てきました。

深く頭を下げ、けれど声を荒らげることなく、はっきりと告げます。

「申し訳ございません。閉店のお時間です。これ以上は、ご提供できかねます」

男性は、みるみる顔を赤くしました。

「客がいるのに、帰れというのか」

そこから男性は、同じ文句を手を替え品を替え、延々と繰り返し始めました。

気づけば一時間近く、店の中はその声に占領されていたのです。

それでも店長は、一歩も引きませんでした。

言い負かそうとするでもなく、ただ静かに、同じ言葉を返し続けます。

「本日は、もう閉店しております」

やがて男は言葉に詰まり、視線を泳がせ、ばつが悪そうに口をつぐみます。

しばらく黙り込んだあと、舌打ちをひとつ残して、荷物をつかんで立ち上がりました。

そうして誰とも目を合わせず、逃げるように店を出て行ったのです。

張りつめていた空気が、ようやくほどけました。

あれだけ大声でごねても、通らないものは通らなかったのです。バイトの私を矢面に立たせず、最後まで筋を通してくれた店長の背中に、私は心から救われる思いでした。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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