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「予約した部屋と違う。海がほとんど見えないじゃないか」フロントで声を荒らげる客。だが、支配人が予約記録を示した結果

  • 2026.8.6

部屋を確認した男性が戻ってきた

数年前の夏、有名な観光地にあるホテルへ宿泊したときのことです。

観光シーズンの真っただ中で、ロビーにはチェックインを待つ家族連れや夫婦が何組も並んでいました。

私が順番を待っていると、エレベーターの方から、五十代くらいの男性が足早にフロントへ戻ってきました。

男性はルームキーをカウンターへ置くと、対応していた若い女性スタッフに強い口調で言いました。

「予約した部屋と違う。海がほとんど見えないじゃないか」

女性スタッフは予約内容を確認し、落ち着いた声で説明しました。

「恐れ入ります。お客様がご予約されたのは、眺望指定のない街側のお部屋でございます」

男性が予約したプランには、海側確約とは書かれていなかったようです。

しかし、男性は納得しませんでした。

「海の近くのホテルなんだから、海が見えるのが普通だろう」

「本日は海側のお部屋がすべて埋まっておりまして、ご変更を承ることができません」

女性スタッフが丁寧に伝えると、男性はさらに声を大きくしました。

「空いていないわけがない。海が見える部屋を出せ、騙すのか」

そう言って、男性はカウンターを手のひらで強く叩きました。

乾いた音がロビーに響き、周囲にいた宿泊客が一斉に振り返ります。

別のスタッフが待っている客を隣のカウンターへ案内する一方で、女性スタッフは表情を崩さず、男性の話を聞き続けていました。

支配人が確認した予約内容

ほどなくして、奥から年配の男性が出てきました。

胸元の名札には「支配人」と書かれています。

「お客様、お待たせいたしました。ここからは私が対応いたします」

支配人は男性をロビーの端にある応接スペースへ案内し、ほかの宿泊客から少し離れた場所で話を始めました。

そして、印刷した予約記録を男性の前へ置きます。

「こちらが、ご予約時の内容でございます」

記録には、部屋の種類や料金とともに、「街側・眺望指定なし」とはっきり記載されていました。

支配人は声を荒らげることなく、ゆっくりと説明しました。

「海側のお部屋をご希望の場合は、海側指定のプランをお選びいただく必要がございます。今回は、こちらの内容でお申し込みをいただいております」

男性は予約記録を見つめたまま、しばらく黙っていました。

先ほどまでの勢いはなくなり、カウンターを叩いていた手も膝の上に置かれています。

「でも、海が少しくらい見えると思っていたんだ」

男性が小さな声で言うと、支配人は静かに答えました。

「ご期待に添えず申し訳ございません。ただ、本日は満室のため、お部屋の変更はいたしかねます」

そのうえで支配人は、次回予約する場合は、プラン名に「海側確約」や「オーシャンビュー」と書かれた部屋を選ぶよう案内していました。

できないことは、できないとはっきり伝える。

その一方で、男性の話を頭ごなしに否定せず、必要な案内だけを淡々と続ける。

支配人の対応を前に、男性もそれ以上は強く出られなかったようです。

「分かった。今回はこの部屋でいい」

男性は不満そうな表情を残しながらも、ルームキーを受け取り、エレベーターへ戻っていきました。

男性がいなくなると、ロビーには少しずついつもの空気が戻ってきました。

近くにいた年配の宿泊客が、小さな声で言いました。

「記録を見せながら説明されれば、さすがに言い返せないな」

怒鳴り返すことも、無理な要求を受け入れることもなく、事実を示して毅然と対応する。

支配人の落ち着いた姿が、今でも印象に残っています。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、60代以上・男性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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