1. トップ
  2. エピソード
  3. 「公園で、なんで僕を無視したの」一度会っただけの男から届き続けたDM。しつこすぎる男をブロックした結果

「公園で、なんで僕を無視したの」一度会っただけの男から届き続けたDM。しつこすぎる男をブロックした結果

  • 2026.8.5

たった一度、話しただけの人

二十代の頃、友人に誘われて入ったバーで、隣に座った男性と少しだけ話した。

共通の話題で盛り上がって、別れ際にSNSのアカウントを交換した。それだけの、どこにでもある夜だった。

「連絡先、交換しません?」

軽い気持ちで応じたのを、翌日には忘れかけていた。

人当たりのいい人だな、くらいの印象しか残っていなかった。

仕事を終えて、いつもの道を歩いて帰る。途中に小さな公園があって、私は毎日そこを通り抜けていた。

ブランコと、古びたベンチがひとつあるだけの、なんてことのない公園だ。

その日も同じように角を曲がると、ベンチのそばに彼が立っていた。

心臓が跳ねた。偶然だと思う。

思うのに、足がすくんだ。昨日会ったばかりの人が、なぜ私の帰り道にいるのか。

私はとっさに下を向いて、気づかないふりをして早足で通り過ぎた。振り返る勇気は、どうしても出なかった。

見ていた、と言われて

家に着いてしばらくして、スマホが光った。

昨日交換したばかりのアカウントから、メッセージが届いていた。

「公園で、なんで僕を無視したの」

指先が冷たくなった。無視したことに、気づかれていた。

「ごめんなさい、全然気づかなくて」

咄嗟にそう嘘をついた。波風を立てたくなかった。けれど返ってきた一文で、私は完全に凍りついた。

「こっちを見てたよね」

見ていない。下を向いて歩いていた。それなのに、彼はこちらの様子をずっと目で追っていたのだ。

たった一度話しただけの相手が、私の帰り道を知っている。その事実だけが、部屋の中でずっしりと重かった。

翌日も、こわごわ同じ道を通った。すると、また彼がいた。同じ場所に、同じように立って、こちらを見ている。

「今日も会えたね」

その一言が、背筋を這い上がってきた。私は会釈だけして、逃げるように角を曲がった。

「どこ行くの」

「もう帰っちゃうの?」

私はその日から、遠回りになる別の道を選んで帰ることにした。

公園には二度と近づかなかった。それでもメッセージは絶えなかった。

「今日はいなかったね」

「なんで返してくれないの」

通知が光るたびに、指が震えた。

偶然かもしれない。あの人はただ、たまたまあの公園にいただけなのかもしれない。何度もそう言い聞かせた。でも、無視を見抜かれた夜のことを思い出すと、どうしても信じきれなかった。

結局、私は震える指でそのアカウントをブロックした。通知が途切れて、静かになった。

それでもしばらくは、帰り道であの公園の角を曲がるのが怖くて、遠回りの道を歩き続けた。

あれは、ただの偶然だったのだろうか。今も、答えは出ないままだ。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ