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「時計も骨董も、売ればいい金額になるよ」三回忌の席でお金の話をした叔父。だが、母が静かな正論で黙らせた

  • 2026.8.5

三回忌の会食で

祖父の三回忌の法要が終わり、親戚十五人ほどが座敷に集まって会食が始まりました。

生前の祖父を偲び、穏やかに杯を交わす、静かな席のはずだったのです。

祖父は物静かな人で、古い時計や器を、いつも丁寧に手入れしていました。

その品々を前に、みなで昔話をするような、あたたかな時間になると思っていたのです。

けれど、母の弟である叔父は、盃を重ねるうちに、だんだんと声が大きくなっていきました。頬を赤くして、身振りまで大きくなっていきます。

「時計も骨董も、売ればいい金額になるよ」

唐突に、祖父の遺品整理の話を持ち出したのです。

和やかだった座敷の空気が、すっと固まったのが分かりました。

「爺さんが残した時計や壺は、長男の俺が全部もらう。まとめて売れば、100万にはなるだろう」

叔父はなお笑いながら、そう言い放ちました。

まだ線香の香りが残る席で、故人を悼むより先に、値段の話が飛び出したのです。親戚たちは箸を止め、互いに目を見交わすばかりでした。

誰かがそっと膝の上で手を握りしめ、別の誰かは湯呑みに目を落とします。祖父を偲ぶはずの席が、いつのまにか品定めの場に変わろうとしていました。

母が置いた一言

誰もが言葉を失うなか、上座に座っていた母が、静かに顔を上げました。

「今日は、そんな話をする日じゃないでしょう」

声を荒らげるでもなく、ただ落ち着いた声で、母はそう言いました。

「お父さんを送る席よ。お金の話は、日を改めてなさい」

叔父は一瞬、きまり悪そうに口をつぐみました。それでも酔いにまかせて、なお食い下がろうとします。

「固いこと言うなよ。誰かがまとめなきゃ、話が進まないだろう」

「進める前に、まず手を合わせるのが先でしょう」

母は静かに、けれどはっきりと言い切りました。その一言に、周りの親戚たちも小さくうなずきます。叔父へ注がれる視線が、ひとつ、またひとつと冷たくなっていくのを、私は隣で感じていました。

「兄さん、今日はもう、よしましょう」

年長の伯母までもが、たしなめるようにそう言い添えました。

叔父の笑い声が、ぴたりと止まりました。誰ひとり味方につかないと悟ったのでしょう。赤かった顔から、すっと得意げな色が引いていきます。組んでいた腕もいつの間にか下ろし、目は所在なげに宙をさまよっていました。

「……まあ、それもそうだな」

叔父は盃を置き、ばつが悪そうにそう呟いて、それきり黙り込みました。あれほど大きかった声は、もうどこにも聞こえません。母はそんな弟を責めるでもなく、ただ静かに祖父の写真へ向き直り、そっと手を合わせたのでした。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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