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「こんなときに、仕方ないわね」火葬場の重い待ち時間。子供の思わぬ一言で明るくなった理由とは

  • 2026.8.2

沈んだ火葬場で

祖母を見送る日、私たち家族は火葬場にいました。

炉の前で最後のお別れを済ませ、あとはただ、その時が来るのを待つだけでした。

見慣れた祖母の顔に、もう二度と会えないのだと思うと、胸が詰まりました。

案内された待合室は、しんと静まりかえっていました。

誰もが黙って座り、うつむいたまま、めいめいの思い出に浸っているようでした。

長く患っていた祖母でしたから、覚悟はしていたつもりです。それでも、いざその時間になると、胸のあたりが重く沈んでいくのを感じました。

時計の針が、やけにゆっくり進むように思えました。

この待ち時間が、いちばんこたえるのだと、私はこのとき初めて知ったのです。

退屈した小さな子

大人たちが沈み込む中で、ひとりだけ落ち着かない子がいました。

親戚の5歳の男の子で、長い時間、じっと座っているのに耐えかねていたのです。

もじもじと足をぶらぶらさせていた子が、ふいに、ぱっと顔を上げました。

何かを思いついたような、いたずらっぽい表情です。隣に座る母親も、その様子にはまだ気づいていないようでした。

その頃、子どもたちのあいだで流行っていた一発ギャグを、その子は思いきり大きな声で披露したのです。

親御さんは驚いて、大急ぎで口を押さえにいきました。

まさかこの場でと、私も一瞬、息をのみました。

けれど、その子の顔があまりに得意げで、思わず頬がゆるんでしまったのです。

明るくなった待合室

こらえきれなくなったのは、私だけではありませんでした。

あちらでもこちらでも、そっと肩を揺らして笑う人が出てきました。張り詰めていたみんなの頬が、ゆっくりとゆるんでいくのが分かりました。

ついには、待合室のあちこちから、あたたかな笑い声が上がりました。

ついさっきまでの重い空気が、その一言で、すっかりほどけていったのです。

「こんなときに、仕方ないわね」と、誰かがおかしそうに言いました。

祖母もにぎやかなことが好きな人でしたから、きっと一緒に笑っていた気がします。

悲しくないわけではありませんでした。ただ、あの子の思わぬ一言が、沈んだ時間をふっと明るくしてくれたのです。

小さな子の無邪気さに、あの日、私たちはそっと救われたのだと思います。おかげで私たちは、笑顔で祖母を送り出すことができました。

※tendが独自に実施したアンケートで集めた、50代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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