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「なくなったら住めない」元北大病院の院長が地域へ赴任 赤字と人手不足の医療の今

  • 2026.8.1

医師不足と赤字経営に苦しむ、北海道浦河町の浦河赤十字病院。
地域唯一のお産や救急医療を守るため、元北大病院長が現場へ赴任しました。

「病院がなくなったら住めない」と危機感を募らせる住民や自治体の動向を通じ、日本の地域医療のリアルな課題を見つめます。

連載「じぶんごとニュース」

「手助けしたい」原点にかえった医師

北海道浦河町にある浦河日赤病院。地域で唯一お産ができる病院です。

日高地方の基幹病院として、24時間体制で救急患者を受け入れています。

6月に赴任したばかりの渥美達也医師。去年まで北海道大学病院の院長でした。

Sitakke

リウマチなど膠原病の専門家でもある渥美医師。
3月に定年を迎え、北大の教授を退官。次のキャリアとして選んだのは、40年近く前、研修医として初めて勤務した病院でした。

「元々は、医師になったきっかけは『病で苦しむ人を手助けしたい』という、要は原点に戻ったということ。もちろんまだまだ元気ですし、医師として働けるだろうということで一番医師が足りなくて困っているところに身を置こうと」

地域に必要とされる現場で、もう一度汗を流す。それが渥美医師の選択でした。ただ、病院は厳しい現実に直面しています。

全国では閉院も「日赤」の今

Sitakke

「へき地にありまして、当院では地域医療を担いながら、救急、小児周産期という不採算部門も抱えております」

そう教えてくれたのは浦河赤十字病院の大柏秀樹院長。
患者減少による収入減。さらに、医師不足を非常勤でカバーするため人件費も膨らみ、2025年度の赤字額はおよそ3億7000万円に。

「経営状況としては病院単独では難しい状況ですので、財政支援が必要な状況になっています」

苦しむ人を救いたいという理念のもと、全国で地域に欠かせない医療を担ってきた日赤病院。しかし、各地で厳しい経営環境に置かれています。

函館赤十字病院は、同じ地域に大規模な医療機関があるとして、2028年3月を目処に閉院を決めました。
しかし、浦河は事情が違います。この地域には、代わりとなる病院はないのです。

病院がなければ住めない…恐怖も

Sitakke

病院を守ろうと、地域も動き出しています。

徳田正人さんは有志らと7年前、「浦河赤十字病院を応援する会」を立ち上げました。

「この地域から日赤病院がなくなったら、もう自分たちもここに住んでいられないと。『病院がなかったら大変なことになる』という、そういう多くの声が届いていたのが現実」

募金を集め、医師の住宅や看護師寮を建て替えたり、国に支援拡充を要望したりと奔走しています。

町も、今年度の予算に1億円の財政支援を盛り込みました。

「日赤という大きな病院が、中核病院があることが、地域のみんなの命をつないでもらっている。なくなったとき、どんな状況になるかという恐怖心がある」

Sitakke

日高地方でお産ができる病院はここだけ。
えりも、様似、浦河の3つの町では、唯一の救急病院です。

深刻さを増す地域医療。今日も現場で渥美医師の診療は続いています。

「皆さん、この地域にいてそれぞれ誇りを持って自分の仕事をしっかりしている。特に浦河町は特徴がありますから、馬の産業とか漁業という。そこに私が参入して高いレベルで健康面をサポートすることによって、質の高い生活をしていただければ」

Sitakke

診療を終えた夜。渥美医師の歓迎会には、地域医療を学びに来た研修医の姿も。

「地域でやる喜びは、自分でかなりの責任を持ってやるっていう。医療を受ける患者さんは、札幌も浦河も一緒であるべきだと。責任をもって自分で考えてやる日々はエキサイティング」

どこに暮らしていても、安心して医療を受けられること。
その当たり前を守るため、地域の命を支える病院をどう守っていくのか。
私たちに突きつけられた、大きな課題です。

慢性的な赤字経営は28も

Sitakke

日赤病院は全国に90、道内は函館がなくなりますので、来年春で9つになります。
90のうち28の病院が慢性的な赤字経営に陥っていて、黒字経営は全体の3割に満たない現実があります。

HBCテレビ「今日ドキッ!」のスタジオではコメンテーターの野宮範子さんが「限られた医療資源『人・物・お金』をどう配分していくか…やっぱり『人』で言うと、医師の偏在というのが大きな問題」と話します。

「今回、北大のトップである渥美先生が浦河に来てくれたことは医師が1人増えるだけではなく、渥美先生のこれまでの医学教育であるとか、医療マネジメントなどの知見も地域に還元されると、ものすごく大きいと思う」

さらにこう続けました。

「だから中長期的には、総合診療医とか、災害救急、それから在宅医療、離島、へき地、こういうのをマルチに見られる地域医療を支えるお医者さんを育成していく。遠回りのようだけど、これもすごく大事だと思いました」

さらに、コメンテーターの平野龍一さんは「地域で、自治体で支えていこうというのは、すごく大切なことなんですけど、正直言うともう限界まで結構来ているんだろうなと思います」と現状について話します。

Sitakke

「本当に国として、地域医療どう支えていくのかというガイドラインをしっかりと示しながら、国が支援していくことが最も大事なんじゃないかなと思います」

地域に病院があるから、そこで安心して長く住んでいられる。
これを当たり前にしていくためにも、もう病院任せではなくて、社会全体として本気で向き合っていかなければならない局面に、今私たちは立っています。

連載「じぶんごとニュース」

文:HBC報道部
編集:Sitakke編集部あい

※掲載の内容は「今日ドキッ!」放送時(2026年7月1日)の情報に基づきます。

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