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「ねえ、見てて」息子に何度も声をかける男の子。私が返事をすると、小さな本音を口にした

  • 2026.8.3

雲梯から聞こえた声

土曜の午後、息子と近所の公園へ行きました。

息子は砂場の縁にしゃがみ、持ってきた恐竜の人形を一列に並べています。私は少し離れたベンチに座り、水筒の蓋を開けたところでした。

そのとき、雲梯のほうから声が聞こえました。

「ねえ、見てて」

小学生くらいの男の子が、雲梯にぶら下がっています。

近くのベンチには、その子のお父さんらしき男性が座っていました。時折顔を上げてはいましたが、男の子は砂場にいる息子のほうを見ています。

息子は声に気づいていないのか、恐竜の向きを変えることに夢中でした。

男の子は端まで渡りきると、もう一度こちらを見ました。

「いまの、見た?」

今度は息子も顔を上げました。しかし、自分に話しかけられているとは思わなかったようで、すぐに恐竜へ視線を戻します。

男の子は少し困ったような顔をして、再び雲梯に手をかけました。

途中まで進んだところで足を大きく振り、体を揺らしてみせます。

「ねえ、聞いてるの」

怒っているというより、どうすれば息子に振り向いてもらえるのか分からず、焦っているような声でした。

言えなかったひと言

私はベンチから立ち上がり、息子に声をかけました。

「お兄ちゃんが、雲梯を見てほしいんだって」

息子はようやく状況が分かったようで、男の子を見上げます。

「もう一回やって」

その言葉を聞いた男の子の表情が、ぱっと明るくなりました。

「じゃあ、どこまで行けるか数えて」

息子は砂場から立ち上がり、雲梯の下まで走っていきます。

「いち、に、さん……」

男の子が一つ進むたび、息子が大きな声で数えました。

端まで渡りきると、男の子は得意そうに地面へ飛び降ります。

「ぼくは最後まで行けるよ。やってみる?」

息子は雲梯を見上げ、少し迷ってから首を振りました。

「ぼく、半分までしか行けない」

すると男の子は、すぐに言いました。

「半分まで一緒に行こうよ。落ちそうになったら教えるから」

どうやら男の子が本当に言いたかったのは、技を見てほしいということだけではなかったようです。

一緒に遊びたいと言い出せず、雲梯の上から何度も息子を呼んでいたのでした。

今度は僕が数える

息子は男の子の後ろに並び、慎重に雲梯へ手を伸ばしました。

一つ、二つと進みますが、途中で足が止まります。

「あと一個だけ行けるよ」

男の子が下から声をかけると、息子はもう一つ先の棒をつかみました。

「できた」

地面に降りた息子は、うれしそうに笑っています。

それから二人は、滑り台へ走っていきました。

どちらが先に滑るかを決め、今度は追いかけっこを始めます。少し前まで言葉を交わすことさえできなかったのが、うそのようでした。

私はベンチに戻り、二人が遊ぶ姿を眺めていました。

しばらくして、男の子のお父さんが立ち上がり、帰る時間だと声をかけます。

男の子は父親のもとへ走りかけましたが、公園の門の前で振り返りました。

「また雲梯やろうね。今度は僕が数えてあげる」

「うん」

息子は大きく手を振りました。

男の子も笑いながら手を振り返します。

ほんの少し声をかける相手を間違えていただけで、男の子は最初から、息子と遊びたかったのだと思います。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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