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「この値段はおかしい、安いはずだろ」レジで特売を主張する客。だが、店長の説明で勘違いが発覚

  • 2026.8.3
「この値段はおかしい、安いはずだろ」レジで特売を主張する客。だが、店長の説明で勘違いが発覚

夕方のレジに伸びた列

高校生のころ、近所のスーパーでレジのアルバイトをしていました。

夕方の五時を過ぎると仕事帰りの人が一気に増えて、かごが台の上に積み上がっていきます。

その日も五十代くらいの男性が、かごを押し込むように置きました。

豆腐や卵を順番に通し、袋詰め台のほうへ移していきます。

「お会計、2680円になります」

硬貨を数え終えたところで、声の調子が変わりました。

「この値段はおかしい、安いはずだろ」

「恐れ入ります。どちらの商品でしょうか」

「これだよ。ここはいつも安いだろうが」

手が止まりました。値札を確かめても、その日の特売の対象になっている商品はひとつもありません。

通常価格ですと伝えた声

後ろの列が、少しずつ長くなっていくのが見えました。息を一度吸ってから、できるだけ落ち着いた声を出します。

「申し訳ありません。こちらは通常価格となっております」

「そんなわけあるか。先週はもっと安かったぞ」

「本日は特売の対象になっておりません」

「決まりだ決まりだって、そればっかりだな」

台の上のかごを、指の先で何度も叩かれました。

周りの視線が集まっているのが分かって、耳の奥が熱くなります。

店長が並べた二枚の札

サービスカウンターから店長が歩いてきて、私の横に立ちました。

走ってくるでも、慌てるでもありません。

「お待たせしました。値段の件をうかがいます」

店長は売り場へ戻ると、黄色い特売の札と、白い通常価格の札を一枚ずつ持って帰ってきました。

それを台の上に並べて置きます。

「本日、黄色い札が付いているのはこちらの棚だけです。お買い上げの品は、すべて白い札の棚のものでした」

男性の目が、二枚の札の間を行き来しました。

「……いや、俺は先週の話をだな」

「先週の特売は、先週で終了しております」

言いかけた言葉が、そこで途切れます。

後ろに並んでいた年配の女性が、小さくうなずいたのが見えました。ほかにも同じ方向を見ている人が何人かいます。

「……もういい」

男性は札から目をそらし、袋を抱えて出口へ向かいました。振り返ることはありません。

「よく最後まで同じ説明を続けたな」

「間違ってないか、途中で分からなくなりました」

「間違ってない。札が証拠だよ」

店長は二枚の札を揃えて、売り場へ戻っていきました。列はまた前へ動きだします。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、20代・男性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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