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タレント・歌人のカン・ハンナさんの1か月連載コラム。最終回は、「石の上にも三年。日本の美しいことば」について。

  • 2026.7.31

昔から引き継がれたことばにはその国の人々が大事にしてきた思想や生き方が見えてきます。だからでしょうか。日本語を独学していた頃、日本のことわざ辞典を購入し、一つ一つのことわざが持つ意味を知りたかったのは……。

ことわざというものは日本だけではなく、韓国やアメリカなど世界各国にもあると思いますが、特に日本のことわざはとても日本らしい教訓や生活の知恵、風刺、真理がことわざに含まれているように感じ、私のような外国人が日本文化や日本人の思考を理解するのにとても役にたつものだと思います。

そういえば、来日して二年目の時のこと。何事も上手くいかず、今の自分の頑張りが本当に実を結ぶ日は訪れるのだろうかと毎日不安や心配が高まっていました。ある日、日本人の友人から「石の上にも三年という日本のことわざがあります。焦らず続ければきっと実りますよ」という言葉をもらいました。

出典 andpremium.jp

その言葉をもらい、改めて「石の上にも三年」ということわざの意味を考えてみましたが、冷たい石の上にじっと座っている状況を我慢や忍耐の象徴とし、それが三年続けばついには石も温かくなるという、このメッセージは、時間をかけて頑張り続けることの大切さをその当時の私に教えてくれた気がして、その後、私が日本で暮らしていくなかでどんな状況でも三年は真面目に頑張るという一つの大きな指針となりました。

歌人の登竜門といわれる「角川短歌賞」の時も実は「石の上にも三年」ということわざを心に刻んでいました。つまり、短歌を詠み始めて二年ほどで角川短歌賞に早くも入選できたのですが、まだその当時の自分は短歌への理解が浅いと感じていて、もしも三年連続で入選できたらその時は自分自身も短歌という伝統文学について語ることができる人になるのではないかと思ったのです。だからこそ、三年間結果を出し続けることが私の一番最初の目標だったのです。

今回「日本の美しいことばについて」という連載をさせていただきましたが、私が思う言葉の美しさは豊かな表現力だけではないと思います。シンプルな言葉であってもその言葉が持つ思想や哲学が世の中の人々に影響を与えたのであればそれこそとても美しい。私にとって「石の上にも三年」ということわざが美しいと感じるのもその理由なのです。

タレント・歌人 カン・ハンナ

出典 andpremium.jp

韓国出身。大学在学中にテレビ番組に出演し、以降キャスターとして活躍。2011年に来日し、タレント活動のかたわら短歌に出合い、創作活動を続ける。’16年から3年連続で角川短歌賞に入選。’19年に出版した第一歌集『まだまだです』(KADOKAWA)で歌人デビューを果たした。’21年3月には、歌壇に新風をもたらす歌人を表彰する「第21回現代短歌新人賞」を受賞。新刊としては、’26年3月にエッセイ歌集『カジョクのうた:韓国から来て、日本で暮らす私が見つけた家族の形』(KADOKAWA)を出版。また、国際社会文化学者として教壇に立ちつつ、株式会社Beauty Thinkerを立ち上げ、2020年11月より100%ヴィーガンコスメブランド〈mirari〉を創設および統括ディレクションを行うなど、多方面で活躍している。

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