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いじめっ子お嬢様→ABCマートの社外取締役へ。90年代人気女優の「人生二毛作」どころではない歩み

  • 2026.8.28
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榎本加奈子-1997年9月撮影(C)SANKEI

2025年4月、エービーシー・マートは佐々木加奈子を社外取締役候補に選んだ。佐々木加奈子は、人気女優として知られた榎本加奈子である。『家なき子2』のお嬢様役を覚えている人には、不意を突く再登場だった。

だが、俳優から上場企業の役員へ一足飛びに移ったわけではない。二つの名前の間には、飲食会社の代表取締役を務めた16年がある。久しぶりに現れたように見えた名前は、表舞台から見えにくい場所で、別の重さを身につけていた。

一度見たら忘れないお嬢様役

榎本は1994年以降、テレビドラマや映画で俳優として活動した。広く知られるきっかけになったのが、1995年の日本テレビ系ドラマ『家なき子2』である。演じた木崎絵里花は、安達祐実演じる主人公をいじめるお嬢様。物語の対立を引き受ける、強い印象の役だった。

主人公に立ちはだかる人物は、好感だけで記憶される役ではない。それでも、作品から30年以上が過ぎた今も榎本の名とともに思い出される。嫌われることまで含めて画面に爪痕を残したからこそ、木崎絵里花は90年代ドラマの記憶の中で生き続けている。

主人公だけが作品の顔になるとは限らない。対立する人物が強ければ、物語の温度は上がり、主人公の輪郭も濃くなる。木崎絵里花は、榎本が物語の中心を担う前から、中心を大きく揺らせる俳優だったことを示す役でもあった。

その後、榎本はテレビ朝日系ドラマ『おそるべしっっ!!!音無可憐さん』で主演を務めた。敵役として物語を揺らす位置から、作品を正面で担う位置へ。違う立場で画面の中心に立った時間が、榎本加奈子という名前を強く残した。

見えないところで続いていた仕事

榎本は2008年3月、飲食店を経営する株式会社エムズ・オフィスの代表取締役へ就任。退任は2024年3月。16年という長さは、芸能人の副業という軽い言葉には収まらない。

画面の仕事には作品名が残るが、経営の日々は一日ずつ名前を刻むものではない。だから外からは空白に見えやすい。けれど、2008年3月と2024年3月という二つの日付の間には、出演作の一覧とは別の形で積み上がった長い実務がある。

俳優と社長という二つの肩書だけを見れば、大胆な転身に映る。だが、経歴の真ん中にあるのは空白ではない。人生の別章と呼ぶには長く、次の肩書の準備期間と呼ぶには独立しすぎている。16年の経営は、それ自体が榎本の仕事の大きな一章なのだ。

16年の先で引き受けた新しい役割

2025年4月21日、榎本はエービーシー・マートの社外取締役候補者に選ばれた。その後、5月に定時株主総会で取締役に選任され、正式に就任。2026年現在も社外取締役を務めている。

1994年以降の出演歴、2008年から2024年までの代表取締役、そして2025年の社外取締役就任。離れて見えた三つの時代は、16年の経営を真ん中に置くと途切れない。俳優として名を残し、経営者として長い時間を重ねた先で、榎本は新しい役割を引き受けた。

「人生二毛作」という言葉は、前半と後半をきれいに分ける。しかし榎本の歩みは、そこまで単純ではない。俳優の後に16年の経営があり、その先に上場企業の役員という新しい責任が置かれた。二つの人生ではなく、表へ出る場所を変えながら続いてきた、一人の長い仕事なのである。

久しぶりだったのは名前だけ

社外取締役候補の発表を受け、SNSには「榎本加奈子の名を久しぶりに見た」という声が上がった。その感覚はよくわかる。俳優として刻まれた名前が、上場企業の役員候補として現れたのだから、時間が一気に飛んだように感じられる。

テレビで知られた名前が上場企業の役員となるまで、仕事は別の場所で続いていた。再登場の驚きより、その間に重ねた時間のほうが、この歩みを雄弁に語っている。


※記事は執筆時点の情報です

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