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「コースの外だぞ」運動会で1人だけ全力で別方向へ走った子供。観客席で拍手がおきたワケ

  • 2026.8.2

白い線に並んだ子供

子どもの通う幼稚園の運動会は、秋にしては暑い日でした。

園庭に張られた白いテントの下に保護者席が並び、私もいました。

プログラムの3番目が、年少のかけっこです。

園庭の隅では、先生が白い線の前に並べていきます。

「線のところに、立ってねー」

スタートからゴールまでは、見渡せる短い直線です。隣の父親が、カメラを構えました。

「うちのは次の組なんです」

先生が旗を上げます。

合図はピストルではなく、笛の音でした。

別の方向へ全力

笛が鳴った瞬間、3人がゴールテープへ向かって駆け出しました。残る1人が、体の向きを変えます。

その子は、園庭の反対側へ全力で走っていきました。腕を大きく振って、まっすぐです。

隣の父親が、カメラから顔を離しました。

「コースの外だぞ!」

園庭の向こうには、フェンス越しに公園の砂場と滑り台が見えます。

その子が向かっていたのは、たしかにそちらでした。

「先生、追いかけてますよ」

「追いつけていないですね」

保護者席から、笑い声が上がり始めます。

若い先生が追いかけますが、その子は向きを変えて、コースの外側を回っていきました。

「そっちじゃないぞー」

声のしたほうを見ると、いちばん前の列で父親らしき人がスマートフォンを掲げています。怒っている声ではありません。

楽しくてたまらない、という声でした。

テープの前で起きた拍手

3人がゴールし、係の先生がテープを持ち直します。その子は、まだ走っていました。

もう一度コースの外を回ったところで、追いついた先生に抱き上げられます。

両手を上げたまま、その子はゴールの前まで運ばれていきました。

先生が下ろすと、その子はテープを両手で持ち上げてくぐります。

そのとき、保護者席から拍手が起きました。

前の列から後ろの列へ、テントの下いっぱいに広がっていきます。私も手を叩いていました。

「いいもの見ましたね」

「これは残りますよ、記憶に」

先にゴールしていた子どもたちが、その子のところへ寄っていきました。輪になって、口々に何か言っています。

「楽しかったね」

放送席の先生が、マイクを持って言いました。

「年少さん、全員ゴールです」

拍手がもう一度大きくなります。予定より少しだけ遅れて、プログラムの4番目が始まりました。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、40代・男性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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