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“流行語大賞”も「1日4回観てた」社会現象を巻き起こした“13年前”の朝ドラ、今でも大絶賛の名作【NHK連続テレビ小説】

  • 2026.8.30
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能年玲奈(現のん)(C)SANKEI

これまで数々の朝ドラを観てきたが、最も斬新で心を鷲づかみにされたのは、2013年度前期放送のNHK連続テレビ小説『あまちゃん』だ。『あまちゃん』は宮藤官九郎(以下、クドカン)が脚本を手掛けた作品。もともとクドカン脚本作品のファンだったが、まさか“クドカンワールド”が朝ドラで繰り広げられるとは思ってもみなかった。当時は月曜から土曜まで放送していたので、“1話15分×6日で1ストーリー”というテンポ感も、クドカンらしさが感じられ、ほかの朝ドラでは味わえない面白さがあった。現在の朝ドラは週5日の放送なので当時より放送日数が少ないが、2028年度前期のクドカン脚本、河合優実主演の朝ドラ『ほんのモキチ』にも期待が高まる。

『あまちゃん』は、社会現象になるほどの凄まじい人気となり、終了後は“あまロス”になる人が続出。舞台となった岩手県三陸地方の方言で、驚いた時などに使う「じぇじぇじぇ」は、2013年のユーキャン新語・流行語大賞にも選ばれた。SNSで“あまちゃん”を検索すると、「1日4回観ていた」など、自分の投稿がたくさん出てきてしまい、物凄くハマっていたことを思い出させられる。今回は、それほどまでに大好きだった『あまちゃん』の魅力を振り返ってみたい。

※以下、本文には放送内容が含まれます。

2013年度前期 第88作 NHK連続テレビ小説『あまちゃん』

当時は1日に4回放送しており、筆者はできる限り全部リアタイするほど、『あまちゃん』に夢中だった。1回は、布教するのも兼ねて家族と一緒に観ていた。ここまで来ると、もうファンというより“あまちゃん狂い”状態。なぜそこまで同じエピソードを何度も観たかったのかというと、画面の隅々にまで散りばめられたクドカンワールドの“小ネタ”が大好きで、それを全て吸収したかったから。かなりクセの強い視聴者だったかもしれないが、もちろん凝った展開のストーリーも非常に面白くて見入った。

『あまちゃん』は、全体的に見ると3部構成の物語となっている。第1部は、ヒロインの天野アキ(能年玲奈、現のん)が東京から母・春子(小泉今日子)の故郷、岩手県・北三陸市(架空の場所)に移住するところから始まる。祖母・夏(宮本信子)のような海女を目指す中で、友達になった足立ユイ(橋本愛)と2人で、地元のアイドル“潮騒のメモリーズ”として注目されていくアキ。

第2部は、芸能事務所からスカウトされ、ユイと2人で上京するはずが、ユイが家庭の事情で行けなくなり、1人で“GMT47”に入ったアキの奮闘が始まる。GMT47は、全国からご当地アイドルが集められたグループ。過酷な下積み生活をしながら、アキは“大女優”鈴鹿ひろ美(薬師丸ひろ子)の付き人をすることに。やがて、アキは芸能界でブレイクする。そんな中、かつて歌手を目指していた春子の過去や、鈴鹿との“因縁”の真相が明かされていく。

第3部は、東日本大震災が発生し、アキはユイをはじめ北三陸の大切な仲間たちを救おうと、東京を後にして、“地元”へ戻ることを決意する。そして、全ての“伏線”が回収され、大団円を迎える。

個性的すぎるキャラクターと楽しい小ネタが満載

こうして振り返ると、青春時代の短い間に、アキはとても目まぐるしい生活を送ったことを実感する。彼女の周囲の人々は、とにかく個性的な人物ばかりで、その描写はクドカン節全開。田舎が嫌いな春子は、母・夏とぶつかってばかり。18歳で家を出て、東京でスカウトされるのを待ったり、オーディションを受けたりもしたが、表舞台に立つことはなかった。若かりし日の春子を好演した有村架純は、全国的に大注目される俳優に。彼女はその後、『ひよっこ』で朝ドラヒロインの座を獲得した。

“夏ばっぱ”と呼ばれ、周囲から親しまれている夏は、“海女クラブ”の会長。春子の上京を反対しつつも、本心では応援していた。それが明らかになるシーンは、非常に感動的だ。遠洋漁業の漁師をしている夫・忠兵衛(蟹江敬三)が帰ってくると仲睦まじく過ごすが、派手なケンカもしたりする。遺影が飾られていたため、春子・アキは忠兵衛が亡くなっていると思っていたが、航海で1年に10日間ほどしか家に帰らないため、「帰って来ないかもしれない」という覚悟のもと、夏が飾っていただけというオチ。ここにも、クドカン脚本ならではの可笑しさが発揮されている。

海女クラブの面々もユニークな人ばかりだが、筆者のお気に入りは花巻珠子(伊勢志摩)。クドカンのロック愛が、花巻を通して描かれていて、洋楽ネタが随所に散りばめられているのがたまらなかった。「分かるやつだけ分かればいい」という花巻のセリフが出た時は、マニアックな小ネタで大いに笑わせられた。1つ例を挙げると、“海女カフェ”のイベントで、レディー・ガガに扮したいという人が多い中、花巻だけはクイーンのフレディ・マーキュリーの格好で現れる。クイーンの曲『RADIO GA GA』(レディオ・ガ・ガ)とかけたネタだ。朝ドラでこんなことができるのは、クドカンしかいないだろう。

『あまちゃん』ならではの快演が見どころ

“太巻”こと荒巻太一(古田新太)、大向大吉(杉本哲太)、小田勉(塩見三省)など、個性溢れる面白いキャラクターは、挙げ出したらキリがないくらい多い。各キャストが、ほかの作品では見られないような快演(怪演?)で楽しませてくれたのも、大きな見どころだ。“ミズタク”こと水口琢磨役の松田龍平や、“ストーブさん”こと足立ヒロシ役の小池徹平は、『あまちゃん』でコミカルな演技を披露し、全国のお茶の間を沸かした。『仮面ライダーフォーゼ』に主演し、イケメン俳優として知られていた福士蒼汰は、“ヘタレ”な種市浩一役を好演し、演技の幅を広げたのも印象的だ。

アキ、春子、夏という3世代の女性を、従来の朝ドラとは全く違う雰囲気で体現したのん、小泉、宮本。複雑な事情を抱えるユイを演じ切った橋本。物語に大きな影響を及ぼす鈴鹿に扮し、ドラマを盛り上げた薬師丸。クドカンワールドの中で、のんを筆頭に輝きを放ったキャストたちの活躍は、これから先もずっと忘れられない。SNSに「間違いなく名作」「毎回、15分が一瞬で終わる」といった絶賛のコメントが数多く並ぶ『あまちゃん』は、何度でも観たくなる超個性的な唯一無二の朝ドラだ。


出典:NHKアーカイブス/連続テレビ小説『あまちゃん』〈第88作〉

ライター:清水久美子(Kumiko Shimizu)
海外ドラマ・映画・音楽について取材・執筆。日本のドラマ・韓国ドラマも守備範囲。朝ドラは長年見続けています。声優をリスペクトしており、吹替やアニメ作品もできる限りチェック。特撮出身俳優のその後を見守り、松坂桃李さんはデビュー時に取材して以来、応援し続けています。
X:@KumikoShimizuWP

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