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「後ろの人がカゴをぶつけてくるの」レジ待ちの列でぶつかってくる客。しつこい客に感じた本音

  • 2026.7.29

洗剤の棚からレジまで

仕事の帰りに、駅前のドラッグストアへ寄りました。

洗剤を一本と、入浴剤を数個。かごに入れたのはそれだけです。

時計は九時を過ぎていて、店内には音楽だけが流れていました。

開いているレジは一つ。前に人が並んでいます。

最後尾についてすぐ、後ろに人が立ちました。

距離が、近すぎました。上着の背中に、布ごしの体温が届くくらいです。

半歩だけ前に詰めると、同じ分だけ後ろも詰めてきます。

かごの角が、腰の上に当たりました。

「詰めて」

短い声でした。抑揚がありません。

振り向くと、女性が一人立っていました。

こちらを見てはいません。視線は、レジの上の案内板のほうを向いたままです。

前の人はまだ会計の途中で、進める場所などありませんでした。

真後ろから、右隣へ

かごは、そのあとも当たりました。

私は片手でスマートフォンを出し、家にいる夫にメッセージを送りました。

「後ろの人がカゴをぶつけてくるの」

送ってから、画面を伏せます。

返事を待つ気持ちではありませんでした。強く押しつけてくるわけではないのです。当たって、離れて、また当たる。それだけが繰り返されました。

次に気づいたときには、女性は私の右隣にいました。

真後ろから、半円を描くように回り込んできたのです。

肩が触れる近さでした。列は一本きりで、横に並ぶ理由はどこにもありません。

かごを持つ手の位置も、さっきから少しも変わっていませんでした。

どれだけ前へ寄っても、呼ばれる順番は変わらないのです。

それでも、女性は横に立ち続けました。

目は、やはり一度もこちらへ向きませんでした。

私は一歩も動きませんでした。列を外れれば、また同じ位置に立たれる気がしたからです。

何を考えているのかは、まったく読めませんでした。

袋を提げて出た自動ドア

私の番が来ました。かごを台へ置くあいだも、右の肩は触れたままです。

「袋はお持ちですか」

「いえ、お願いします」

声が、思ったより小さく出ました。

支払いを済ませ、袋を受け取ります。

私は振り返らずにレジを離れ、まっすぐ自動ドアへ向かいました。

後ろで、女性が店員に何か話しかけているのが聞こえます。低くて、聞き取れない声でした。店員が困ったように「はい、はい」と返しているのだけが届きます。

何の話だったのかは、分からないままです。

外に出ると、夜の風が首筋に当たりました。そこでやっと、肩の力が抜けたのが分かります。

それからも、同じ店に寄ることはあります。

ただ、あの時間のあのレジに並ぶと、背中の側にばかり意識が向くのです。

後ろで人の立つ気配がするたび、かごを持つ手に力が入ります。

※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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