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「すみません、合計が合わないみたい」スーパーでの打ち間違い。だが、ミスが発覚した時の店員の一言とは

  • 2026.7.29

電卓の数字と合わなかった

特売日のスーパーは、夕方からずっと混んでいました。

レジの列に並んでいました。かごには夕飯の材料が入っています。

先頭にいたのは、大きなエコバッグを提げた年上の女性です。

会計が済んだあとも、その場を離れません。

レシートと、手のひらの電卓とを、交互に見ています。

「すみません、合計が合わないみたい」

怒っている声ではありません。

困っている、という響きです。

「家で計算してきた金額と、300円ずれているんです」

レジの店員さんは、レシートを受け取って目を通しました。

そのあいだにも、列は二人増えます。

後ろで、かごを床に置く音がしました。

(隣のレジに移ろうかな)

そう思ったとき、店員さんが顔を上げたのです。

「一緒に確認させてください」

迷った様子は、まるでありません。

困った顔も、探るような目つきもしません。

「打ち込んだ履歴を画面に出せますので、一点ずつ読み上げます」

謝るより先に、礼を言った

「大根、128円」

「はい」

「豚こま、398円」

「それも合ってます」

一品ずつ、はっきりした声でした。

二十品目の手前で、お客さんが画面を指さしました。

同じ品名が、上下に二つ並んでいます。

「気づいてくれてありがとうございます」

叱られるのを恐れるような言い方ではありません。

ただ、事実を伝える声でした。

読み取りのときに、同じ品を2回通してしまっていたのだそうです。

値段はちょうど300円でした。

返金はその場で済みました。硬貨がトレーに置かれ、新しいレシートが渡されます。

「申し訳ございませんでした」

店員さんは深く頭を下げました。

けれど、顔を上げたあとに、もう一言ありました。

「気づいてくださって、ありがとうございます」

お客さんが、目を見開きました。

すぐには返事ができないようです。口が動きかけて、止まりました。

やがて、張っていた肩がゆっくり下がっていきます。

「こちらこそ、ありがとう。時間、かかっちゃったのにね」

「とんでもないです」

お客さんはエコバッグを肩にかけ、軽く会釈をして出口へ向かいました。

振り返ってみると、並んでいる人たちの誰も、急かす顔をしていません。

家に帰ってから、レシートをもう一度広げてみました。

間違いは、ありません。それでも、あの一言をずっと考えていました。

自分がミスを指摘されたとき、謝ったあとに、お礼まで言えるだろうか。答えは、まだ出ていません。

※tendが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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