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「本当にないのか、もう1回見てこい!」何度も在庫を確認させる客→店長が見せた画面とは

  • 2026.7.31
「本当にないのか、もう1回見てこい!」何度も在庫を確認させる客→店長が見せた画面とは

3度目の在庫確認

品出しの途中でした。段ボールを抱えたまま呼び止められたのです。

「これ、棚に出てないの」

五十代くらいの男性のお客様が、値札だけが残った棚を指さしていました。

やわらかく煮込んだタイプのレトルト食品です。

「確認してまいりますね」

売り場の裏手に回り、棚を上から下まで見ました。届いたばかりの台車もほどいて確かめます。

それでも、その商品だけがありません。

「申し訳ございません。ただいま在庫を切らしております」

お客様は、納得しない様子で首を振りました。

「奥にあるだろう。もう一度見てきて」

2度目も、同じでした。3度目は、別の売り場の棚まで見に行きました。

催事のワゴンの下も、返品用の箱の中も確かめます。

それでも出てきません。伝えに戻ると、声が少しだけ大きくなりました。

「本当にないのか、もう1回見てこい!」

通路には、中断したままの台車が置きっぱなしです。ほかの棚も半分しか埋まっていません。

(信じてもらえていないのかな)

そう思いながら、私はもう一度頭を下げました。

店長が回した端末の画面

4回目に裏手へ向かおうとしたとき、店長が横から入ってきました。

手には、在庫を調べる端末を持っています。

店長はお客様の前でその画面をくるりと回し、指でなぞりました。

「こちらが今の在庫です。次の入荷は明後日になります」

数字の並んだ画面を、お客様はじっとのぞき込んでいました。

「ご予約を承りますので、入荷しましたらお電話しますね」

その言葉を聞いた瞬間、お客様の肩から力が抜けたのが分かりました。

「実は、母が入院していて」

「これでないと、食べられないんです」

先ほどまでの強い声は、どこにもありませんでした。

「ほかのを持っていっても、手をつけないもんでね」

店長はうなずいて、予約票にお客様の名前と電話番号を書き取りました。

「明後日、届き次第すぐにお電話します。取り置きしておきますね」

お客様は控えを財布にしまうと、私のほうへ向き直りました。

「すまなかったね。何度も歩かせて」

「いえ、お力になれず申し訳ありませんでした」

入荷の日、お客様は開店してすぐに来られました。

取り置きの袋を受け取ると、売り場まで足を運んでくださったのです。

「この前は、ありがとう」

それだけ言って、まっすぐレジへ歩いていきました。

あの日、疑われているのだとばかり思っていました。

そうではなく、あきらめられない理由があっただけだったのです。

それから、売り場でお客様を見かけるようになりました。

私に気づくと、少し離れたところから小さく手を上げてくださいます。

何度も往復したあの通路が、いまでは挨拶を交わす場所になりました。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、20代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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