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「あんたの名前覚えたぞ。上に報告してやる」常連客扱いされずキレた客。後日、再度来店した客の本音とは

  • 2026.7.31
「あんたの名前覚えたぞ。上に報告してやる」常連客扱いされずキレた客。後日、再度来店した客の本音とは

言われる前に手が動いた朝

学生のころ、駅の近くのコンビニで朝の時間帯に入っていました。もう何年も前の話です。

毎朝、同じ時間に来る男性がいました。五十くらいの、いつも紺の作業着の人です。

買うものはいつも同じ。温かいコーヒーと、レジ横のホットスナックでした。

半年も続けば、こちらも覚えます。

その朝も、私は何も聞かずに棚へ手を伸ばしました。

「おはようございます」

「おう、悪いね」

それだけで会計が終わります。男性は軽く手を上げて出ていきました。

次の人がレジの前に立ちました。その顔に見覚えはありません。

名前も、いつも買っているものも、私の中から出てきませんでした。

「あの人のは、聞かずに出すんだな」

低い声でした。

「俺も毎日来てるぞ」

そう言われて、ようやく分かりました。

一日に何度も店に寄る人で、たまたま私のシフトと重ならなかっただけなのです。

「申し訳ありません。時間帯が違うと、なかなかお顔と商品が一致しなくて」

言った瞬間に、しまったと思いました。

「あんたの名前覚えたぞ。上に報告してやる」

胸のあたりを指さされて、足が動かなくなりました。

男性は釣り銭を受け取ると、袋も持たずに出ていきます。

自動ドアが閉まっても、しばらく手が震えていました。

「大丈夫よ」

裏から出てきた年上の従業員が、私の背中を軽くたたきました。

後日、店長に呼ばれて

それから何日か、レジに立つのが怖くてたまりませんでした。

店長に呼ばれたのは、次の週の朝です。とうとう来た、と思いました。

「この前の人、覚えてる」

「はい。本当にすみませんでした」

「謝らなくていいよ。あの人ね、昨日わざわざ来たんだ」

報告に来たのだと思いました。ところが、店長は少し笑っていたのです。

男性は、こう言い残していったのだそうです。

「あの子は笑顔が明るい。怒ってたのに、つい褒めちまった」

そして、伝えておいてくれと続けたと言います。

いつか自分の買うものも覚えてくれたら嬉しい、と。

怒鳴られたときは、ただ怖いだけでした。

でも、あの声の底にあったのは、覚えてもらえない寂しさだったのだと思います。

その日から、私はレジに来る人の顔を、前より少しだけ見るようになりました。

男性が来るのは、決まって十時前でした。缶のコーヒーと、いつものホットスナックです。

三度目には、もう手が先に動いていました。何も聞かずに棚から取って、カウンターへ置きます。

男性は目を丸くして、それから小さく息を吐きました。

「……覚えたのか」

「はい」

それからは、隣のレジが空いていても、必ず私の列に並ぶようになったのです。

※GLAMが独自に実施したアンケートで集めた、20代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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